起勢搖滾

《起勢搖滾》
MR.、林欣彤(マグ・ラム)、詩雅(ミッシェル・ワイ)、何佩瑜(ジーナ・ホー)、林徳信(アレックス・ラム)、冼色麗(ボニー・シン) 
李志倫(ジャッキー・リー):監督


Alanの父は中医で、藥材鋪を営んでいる。姉はしっかり働き昇進、西貢に家を買ってみんなで住もうと話す。妹も何の問題もなく育っている。ところがAlanだけは仕事が長続きせず、父は心配するとともに怒ってばかりいる。
ある日、Alanが繁華街で演奏するバンドに見入っていると、かつて学生の時一緒にバンドを組んでいた友人の顔を観衆の中に見つけた。友人は久しぶりに会ったAlanをバンド房へ連れて行き仲間を紹介する。Alanは最初は迷っているものの、音楽への情熱を思い出して、仲間に加わるのだった。


人気バンドMR.を主役に、バンドを組む若者たちの物語。先だって見た《在浮城的角落唱首歌》(id:hkcl:20120330)でも語られていたように、実際に觀塘にはバンド房と呼ばれるバンド練習部屋がいくつも入った工業ビルがある。この映画でもそういった工業ビルにあるバンド房が登場し、夜遅くバンド仲間が集まり、演奏に興じる姿が映し出される。メンバーが足りず、ゲームセンターでギターを使ったゲームをしている男をスカウトしてみたり、バンド房に現れなくなったドラムの代わりに、他のバンドから人を借りたりする。さらにはライブハウスでデビューするが、ヤジの応酬を受けて、他のバンドと乱闘騒ぎを起こして機材を弁償しなければならなくなったり、バンドメンバーが病気になったりする。
こういうメインの話に、Alanとボーカルの女性、Alanと学生の時に好きだった女性の2つの淡い恋や、バンドにかまけ彼女に愛想をつかされてしまうバンドメンバーなどの話が絡まるが、バンドメンバーの個々の物語や、メンバー同士の友情などの描写が弱く、途中で少し退屈になる。また音楽を主題にした映画では、音楽のようにグルーブ感を感じたいと思うが、その部分も少し不足気味だ。しかし監督は新人、出演者も新人ということを考えれば、及第点だとは思う。音楽を主題にした映画は香港ではあまり撮られていないが、MV出身の新人監督、若手(とっても実は30歳代だが)歌手を使った新しい試み。こういった小品が多く作られていかなと、香港映画人の平均年齢はあがるばかり。しかしこの日、観客はたった4人だった。
2012.4.19@新寶戲院


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