大醉侠

《大醉侠》
鄭佩佩、岳華、陳鴻烈、楊志卿 
胡金銓:監督 1966年 邵氏


索命五虎とあだ名される盗賊団が闊歩していた時代。長官の張步青らが捕らえた盗賊の頭を護送していると、盗賊団の1人・玉面虎(陳鴻烈)が頭を取り返そうと襲ってきて張步青は捕らえられ、人質の交換を申し出る。実は張步青には金燕子(鄭佩佩)と呼ばれる女侠の妹がおり、索命五虎は金燕子が目障りだと彼女が投宿しそうな宿屋に先回りしていた。宿屋にやってきた金燕子と索命五虎らのいざこざの一部始終を見ていたのは酔っ払いの范(岳華)。覚られぬように金燕子を助けてやった・・・


胡金銓が初めて撮った武侠映画。ポスターなどでは鄭佩佩が全面に出ているが、大醉侠は岳華のことで、孤児だった自分を拾って武術を身につけさせてくれた刁敬塘への恩義とさらには刁敬塘の悪事への憎しみの板挟みで世を捨てているという設定。
《大醉侠》も初めの部分は客棧(宿屋)が登場し、いわゆる客棧ものとも言える。前半と後半で主役が入れ替わってしまう感じだが、後の作品に比べると物語の中身は豊富。細かいカット割りのアクションシーンは今見ても迫力がある。胡金銓のリズム感のよいアクションを見ていると、やはりこれが後々の成龍などに繋がっていくのがよく分かる(ちなみに子役として成龍も出演している)。鄭佩佩がよく動いて可愛い。
邵氏作品なので、一部屋内セットで撮影した部分があり、小さな滝なども作り込んでいて独特の雰囲気も味わえる。しかし胡金銓は作り込んだセットの中より、空の見える屋外や天井の高い客棧といった広い空間で人が自在に動く方がいい。なお、撮影は賀蘭山こと西本正。
2012.12.16@香港電影資料館(侠影禪章―話説金銓)


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