17歳的夏天(Aサイド、Bサイド、シーサイド)

17歳的夏天
江玲、陳倩文、陳良韋 陳榮照:監督


中学5年が終わった阿甜(江玲)たち4人は、長洲*1へ卒業旅行へ出かけた。ほどなく北京へ勉強に行くことになっている阿甜は、長洲で友人たちと17歳の夏を満喫、ウインドサーフィンをする少年(陳良韋)に淡い恋心をいだいた。
長洲から香港へ出て行った阿妹(陳倩文)は、香港での生活に疲れ長洲へ戻ってくる。幼馴染みの阿虎と阿濤が、変わらぬ態度で阿妹を迎えたが、3人の関係は少しずつ変化していた。


若いってなんでもキラキラしている、なんでも好奇心いっぱいに夢中になれる。遥か昔のことで、そんな気持ちはすっかり忘れてしまった(笑)。
香港の中学は7年まであって、ほとんどの生徒は5年までいく(本当の義務教育は3年までだったと思うが)。5年生の時に「会考」という試験があり、これに受からないと、その先(6年生と7年生の2年間)に進めず、香港の大学を受験する資格が得られない(現在は他の方法もあるが)。中学1年生を100%とすると香港の大学に入れるのは30%。狭き門である。最初から「会考」を受けない生徒や、受からなかった(成績の良く無かった)生徒たちは、仕事に就くか、海外の学校へ行くことになる。
最初に登場する少女たちは中学5年が終わり、ひとりは北京へ勉強に、1人は仕事をして夜学校に行くといい、一人は結婚でもするといっている。彼女たちにとってはこの夏が、みんなで過ごせる中学最後の夏だ。子供から大人に変わって行く夏のその瞬間を、映画に閉じ込めたといっていいのだろう。


香港内はほとんどの場所が24時間移動可能だが、離島の長洲は、香港からフェリーでたった40分ほどのところだが、平日の夜には香港と長洲を結ぶ船がなくなる。香港と長洲の間には海が横たわっているという地理的距離だけでなく、いつでも行き来できるわけではないという精神的距離もあるように感じる。その距離が、物語りを作っていくのかもしれない。長洲を舞台にした映画は、最近では《一碌庶》《非常青春期》がある。2005.10.3@百老匯電影中心


■□05年に見た映画の一覧□■

*1:ちっちゃなことだが、「長洲」は、「洲」の字に島の意味があるため、「長洲島」とは呼ばない。