向華強怒り爆発

向華強、香港から逃げ出せと怒り爆発

中国星(チャナイスター)の旧正月映画《喜馬拉亞星》が、影視処*1で審査を受けたが、1人のインド人の訴えにより、とんでもないことになっている。このインド人は英語のタイトルがインド人差別だといい、影視処では、とりあえず上映許可を出さないと決めた。昨日、中国星社長・向華強(チャールズ・ヒョン)は、影視処はのやり方は幼稚で、映画産業は香港から逃げだせと呼びかけた。


中国星の旧正月映画《喜馬拉亞星》は、本来、来週の火曜日(2月1日)にプレミアを行い、上映開始はその週の木曜日(3日)を予定していた。しかし最近になり、1人のインド人が影視及娯楽事務管理処に手紙で、この映画の英語題《Himaraya Singh》の中の「Singh」の字に差別意識があると訴えた。影視処は、昨日、中国星社長で《喜馬拉亞星》の製作者である向華強に、現在は映画上映許可を与えられないと通知した。
・「こんな滑稽なことはない」と怒る
影視処が昨晩と今日、3回映画を試写し、インド人に《喜馬拉亞星》を見せるらしいと、昨日向華強は尖沙咀の中国星のオフィスでインタビューを受けて話した。「彼らが見終わって誰も抗議しなかったら、影視処は上映許可をくれるという」。
向華強は影視処の方法は幼稚でバカげているという。「普通、娯楽映画の審査は1日で終わる。数十年間映画にかかわってきて、こんな滑稽な事は初めてだ。警察に関係する映画だったら、公安に見せて意見を聞くというような、まるで以前の中国電影局のようじゃないか。香港は国際都市じゃないのか、いまこのような事をするとは、退歩してるということか。影視処は、自分の基準がないのか」。
向華強は続けて「《受難曲(パッション)》は世界中のユダヤ人が抗議している。《華氏911》はブッシュに見せて意見を聞くわけじゃないだろう。香港政府がこんな事をするなら、これからどうやって映画を撮るんだ。香港映画産業はすでに死んでいる。影視処はさらに、シンガポールは許可したのかと聞く。この言葉を聞いて、さらに頭に来た。この映画は大陸でもマレーシアでもすでに許可されている。マレーシアには多くのインド人が住んでいる。香港は何故シンガポール映倫に従わなくちゃいけないのだ。董建華政府がこんなことをして、香港映画はどうやって生き残っていけるのか」。
《喜馬拉亞星》は3千万香港ドルを投じて作られ、宣伝費は2千萬香港ドル。来週火曜日に行われるプレミアのチケットはすでに売れており、スポンサーのサポートや、映画館の上映準備はすでに終わっている。プレミアが延期になれば損失は甚大で、それは出来ないことだ。
・笑い話
向華強は、昨日「影視処は上映を延期をしろと言ってきた。政府がこんな無能なことをするなど、まったく失望する。私達は上場会社。どんな損失でも必ず追求する。中国星は、業界で長い間、多くの映画を撮影してきた。大金を投資し、多くの社員を養ってきた。しかし影視処のこの低能なやり方では、香港映画に希望はない。心が萎えた。どこか別の場所でやったほうがいい。香港から逃げたほうがいいと大声でいう。中国星をマカオに移す。マカオはいま景気がいい。何厚[金華](マカオの代表)は目が利くから。マカオは歓迎してくれるだろう。他の人に聞いてみると言い、道理にかなっているかどうか。どうして香港はこんなになってしまったんだ」
董建華は、先だって施政方針演説で、映画産業への支援を表明した。向華強は、その言葉に反論する。「私はこれまで精一杯やってきたのに、政府のこの待遇はどういうことだ。政府の人間はどうするのかわからないだろう。以前董建華は、クリエイティブなものを支援すると言った。しかし政府の今回の態度には、がっかりして失望した」。
向華強は《喜馬拉亞星》の2か月間のインドロケのために申請をしていた。インド政府の支援を得ている。「私達はこのタイトルでインドにロケを申請し、許可を貰っている。インド政府が支援してくれ、宣伝にも力を入れてくれている。インドの何億もの人間は誰も訴えてこない。香港は1人のインド人の訴えで許可しないというのか、まさに笑い話だ。最後に許可されたとしても、気分は悪い」。
・応援の声
一方、映画スターらはそれぞれ中国星に応援を表明している。李連杰ジェット・リー)は昨日電話でのインタビューに答えて、「香港が得難い場所だというのは、それは自由が有るからだ。映画産業が以前あのように盛んだったのは、それはやはり自由だからだ。《喜馬拉亞星》は喜劇にすぎない。差別は感じられない。香港政府は映画産業の輝かしい繁栄を大切に思って欲しい、と呼びかけたい」。監督の爾冬陞(イー・トンシン)は、「影視処は理由があるから許可しないだろう。影視処自身の判断があるはすだ。結果をインド人にゆだねるとは、このようなやり方は投資家に大きな損失を与える事だ」と話した。by 2005.1.29「蘋果日報

この後、「蘋果日報」はチョンキンマンション前で10人のインド人にインタビューしている。9人は「阿星」には問題がないといい、1人は屈辱的なものを含むと感じると話している。そしてインタビューしたインド人のほとんどの姓が「Singh」であった。中にはっきりと描かれ方が問題なのでは、という人もあり。また「Singh」という姓はインド人には多く、「Singh」の発音は広東語の「星」の発音に近いと「蘋果日報」は結んでいる。
問題は「Singh」より内容だろう。かなり差別的なのか。だとすれば、はっきり差別的な内容と申し伝えればいい。しかし香港映画は、外国人は多少なりとも類型的に描かれる。また香港映画の笑いの根底にはそういった差別を笑うという要素がかなり濃いと思う。かつては中国大陸出身者を田舎ものと笑っていたわけだし。いまも多少そういった傾向があるのはたしかだ。厳密に言えば、変な顔の人を笑う周星馳の映画は上映出来ないではないか?

  

*1:日本で言えば映倫