今年は中品、小品映画に期待

この旧正月時期の興行成績はごく普通だ。旧正月香港映画に向かう敵は2作品だけだが、敵がへってもそれほど大きな効果はないようだ。
今年の映画産業には期待が持てるようで、業界人にはいくらかの心づもりがあるようだ。何故なら、稼ぎ時にかけるべき大作については、ほぼ決まりつつあるからだ。しかし筆者は今年の大作についての見方はどちらかというと保守的だ。それは、すでに撮影が開始されている「大作」には「大作の要素」がまだ備わっていないように思うからだ。あるものは製作費が多いが、キャストが不足。またあるものはキャストはいいが、製作費があまり多くない。
興行成績のよい中国語映画といえば、昨年は《十面埋伏(LOVERS)》と《功夫カンフーハッスル)》だった。《十面埋伏》は香港映画ではないが、キャストや制作は香港映画に近い。この作品の大陸での興行成績は香港より遙かによかった。海外市場では《英雄(HERO)》の勢いに続くようだが、《英雄》にはまだ及ばない。何故か? それは《十面埋伏》のキャストは《英雄》のキャストに及ばないからだ。特に男優。アメリカの観客は主演女優の章子怡チャン・ツィイー)は知っているが、劉徳華アンディ・ラウ)や金城武は知らない。
《英雄》の計算ずくははっきりしている。李連杰ジェット・リー)、章子怡、甄子丹(ドニー・イェン)などアメリカ人が知っている数人のスター、さらに梁朝偉トニー・レオン)、張曼玉(マギー・チョン)などのヨーロッパにマーケットのあるスターを揃えたのだ。
・《十面埋伏》は絵を売るだけ
《十面埋伏》は大陸や香港の観客からは、絵を売るだけの映画と批判されている。この方法ではけして主流になり得ないのだ。次回作、インタナショナルマーケットに標準を合わせるなら、張藝謀(チャン・イーモウ)は方法を考えなくてはならないだろう。
香港映画の興行成績記録を作った《功夫》は、周星馳が3年に渡り心血を注いだ作品だ。
功夫》のような映画は今年は出てくるだろうか。答えは分かりきっているだろう。周星馳の名前がなく、どうやってこのような興行成績が上げられるものか。誰もが分かっているだろう。もちろん、我々には成龍ジャッキー・チェン)もいる。陳木勝(ベニー・チャン)の《新警察故事(香港国際警察)》は、成龍の80年代のスタイルを残した得難い作品だ。しかしそれでも興行成績は2000万香港ドルあまりだ。収入がプラスかマイナスかは海外の市場を見なければならない。
・逆境だから発想が出る
興行成績がよいとされるキャストについても、実はその成績は映画の質にかかっている。その差は大きい。スターたちは、有名になればなるほど創作活動についてますます干渉するようになる。創造的なアイディアこそが香港映画の出口である。今年は中作品や小作品に期待したと思っている。
困難な環境だからこそ独創的なアイディアが飛び出してくるはずだ。筆者は今年、中作品や小作品から優れた映画が出来てくる可能性が究めて高いと、期待を持って眺めていたい。by 2005.2.13「明報」 郭繾澂 記

昨年、確かに香港映画の製作本数は減ったのだが、その実、公開された映画の質はおおむね高かったというのが多くの人の意見だ。かつてのようにどうしようもない(ゴミ)映画は少なくなっている。映画会社も真剣だ。この1本の失敗が会社の収入に大きく影響を与える。1度失敗すれば、次は誰も出資してくれないかもしれないという状態で、必然的によく考えるようになった。脚本を練り、キャストをよく考える。俳優たちも1本1本に真剣に取り組む。それは大変健康な状態だと言う。
今年もしっかり香港映画、見続けますよ。小粒でもいい、いい映画をよろしく。そして今年は範囲を広げ、独立系作品もなるべく見るようにしようと思っている。3月の中旬には百老匯電影中心で独立系の作品がまとまって公開される。金・土・日という変則公開なので、なるべく時間を作って見たい。