另起爐灶之耳仔痛

記録映画 游静(ヤウ・チェン):監督


97年問題ということで、上映された作品の1つ。97年を控えて、カナダに移民した人や、香港へ戻ってきた人など数人へのインタビューを纏めたもの。1993年と1997年に撮ったという。インタビューの合間に返還に反対するデモの映像などが挟まっている。
移民した人にも帰ってきた人にも、様々な理由(人それぞれみな違う)がある様子がよく分かる。典型的だと思えるのは、ある女性の父母は、共産党を嫌って中国から香港へ行く、さらに香港が不安に思え子供達のことを考えてカナダへ行ったという。彼女の母は長年カナダに住んでいながら、一言も英語を話そうとしない。カナダが好きでやって来たのではない、子供達の将来だけを考えて移民したのだ。似たケースの人はたくさんいたのだろう。さらに面白いのは、誰もが自分はたとえカナダに居ても、アイデンティティは「香港人」だと話すことだった。それも英語混じりの広東語で。さらに今後どうするか、カナダに留まるのか、香港へ戻るのか、または別の土地にいるのか分からないという、インドネシア華僑の人もいた。
文字になったり報道されたもので、このような話しは知っているのだが、生の声で語られるのを見ると(カメラは長回しで発言者が言葉につまったり黙ってしまう場面も収録している)、よりリアルで、非常に興味深く面白かった。
この監督、2002年の電影節ので上映された《好郁》(これもインディ映画)というのも撮っている。電影節のあと、電影中心だけで公開になり、少し話題になっていたように思うが、見る機会がなかった。ソフトは発売されているはずなので探してみよう。
2005.3.5@百老匯電影中心「2005肯定独立」


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