《黒社会》@カンヌ

杜琪峰(ジョニー・トー)監督の《黒社会》は、今年カンヌ映画祭に参加する唯一の香港映画。昨日、杜琪峰は出演者を従えて、記者会見をし、黒社会は香港の文化の一つであると指摘し、映画は黒社会の構造や入会儀式、用語について述べたもので、香港で上映されるときには、カットは免れないだろうと話した。
杜琪峰は一昨日、古天樂(ルイス・クー)、梁家輝(レオン・カーファイ)、任達華(サイモン・ヤム)、林家棟(ラム・ガートン)王天林(ウォン・ティンラム)と映画会社社長・羅守耀(ロー・サウヨン)らとカンヌNoga Hiltonホテルで記者会見を開き、中国・香港・台湾のマスコミに対して、《黒社会》のプロモーションを行った。
・ボスの座を争う
杜琪峰は、コンペティションに参加についての思いと勝算について聞かれ、「参加できて嬉しい。受賞については、俳優たちにきいてほしい」といい、任達華、梁家輝、林家棟らは「監督賞」が受賞できれば光栄に思うと話した。
黒社会》は同じ組織に属している任達華と梁家輝の2人ボスが、トップの座をめぐって死活を争う物語。杜琪峰は、一昨日には黒社会を題材にした映画を撮るのが好きだと話している。また香港には現役、現役ではないものを含め、20万から30万の黒社会構成員がおり、映画では黒社会の真実の一面を表現できればいいと話す。またこれまでの黒社会映画は黒社会を美化している。そのため、彼は「プロ」を顧問に雇ったともいう。記者は「プロ」とは「渡世の人物」なのかと問うと、彼はそれには答えず「顧問を頼んだだけ」と話した。
・プログラムは香港へ持って帰らないでくれ
映画会社は、一昨日《黒社会》のプログラムをマスコミに配付した。内容は香港黒社会の構造、入会儀式や黒社会の用語などで、かなり大胆な内容だ。しかし杜琪峰は、記者会見の席で、香港のマスコミに向かい、「この本は通関できないだろう(それはこの本が「猥褻および好ましくない物品管理条例」という香港の条例に触れる可能性があるという意味)から香港へ持ってかえらないで欲しい」と注意を促した。
任達華は、記者がもっていた《黒社会》のプログラムを見て、「君たちももらったのか。僕が香港からもってきたんだ」と得意げに話した。持ってくる時に法律に反するという心配はなかったかと問うと、「梱包したから、大丈夫」と笑って話した。
杜琪峰は半年の時間を《黒社会》の撮影に使った。上下に分けるという報道もあるが、杜琪峰は否定して、「たくさんのシーンを撮影した。しかし上下に分けることはない。全体は3、4時間になったが、最後にもう一度カットして90分にした。しかし今回カンヌで上映する版が必ずしも香港版と同じとは限らない。香港の映倫の尺度を考えてみなければいけない。DDVDを出す時には、ディレクターズカットを作ることも考えている」と語った。
・入会儀式はカットを免れる
劉徳華アンディ・ラウ)と張學友(ジャッキー・チョン)主演の《江湖》は、黒社会を描いたといことで、大陸では上映できなかった。《黒社会》も同じ運命をたどるのではと杜琪峰に問うと、大陸での上映はまだ考えていないと話した。映画は始まりから黒社会の詳しい構造や多くの黒社会用語、入会儀式などが描かれており、香港でも映倫でかなりの場面がカットされる運命を免れないのではと思われる。
昨日《黒社会》は、カンヌのシティホールで2回目の記者会見を開いた。中国・香港・台湾の記者だけでなく、外国の記者もインタビューに駆け付けた。記者は再び任達華にプログラムの輸送は法に触れないかと問うと「映画は一つの夢だ。これは宣伝物。分かってくれている」と話した。香港税関の猥褻物または好ましくない出版物の輸出入制限に従えば、公の出版物が好ましくないと判断されれば、海外に持ち出すことも海外から持って入ることも違法になる。
黒社会》を撮った理由を聞かれた杜琪峰は、「黒社会は香港文化の一部分であり、また歴史の一部でもある。しかしこれらがきちっと記されることがないのは、大変に惜しいことだ。この映画が、記録になればと思い撮った」と話した。
王天林は、映画の中でもっとも印象深い場面については、「200分以上を撮影したが、いまはカットして90分。すべての部分がいい」と話した。(略)by 2005.5.15「蘋果日報

やっぱり実録でしょうか。香港でそのまま公開できない内容というのがさらに気になる。カット版でもいいから早く見せてくれ〜。
カンヌ映画祭の写真などは、sina.comtom.comを参照。