早熟

《早熟》凌雲、金漢、 恬妞、汪禹、陳依齢 
宋存壽(ソン・ツンショウ):監督 1974年 邵氏 DVD


新聞社に勤める父(金漢)は家に帰ってくることが少なく、ふだんはマカオの女性のところにいる。父のいない家庭では、母は麻雀して気晴らししているだけ。夫の不在は、気にしないふりをとおしている。長女はすでに嫁いでいる。2女(陳依齢)は、ボーイフレンドとのデートに夢中。おませな3女・稚白(恬妞)は、父のいない寂しさやら姉への不満やらを、父の同僚・石心樵(凌雲)にぶつけてみる。しかし石は、子供の稚白はあくまで子供としか扱ってくれない。寂しさを紛らわしたい稚白は、言い寄ってくるお金持ちの軟派ドラ息子とのデートを重ね、騙されて関係を結んでしまう。妊娠に気付いた稚白は、石にお金を借り処理しようとする。そんなおり、父が危篤に陥る。


分かり切った内容やストーリーだが十分に面白かった。それはたぶん主役の恬妞の愛くるしさと、こまっちゃくれ具合ゆえ。凌雲はヤクザなブン屋にはぴったりな顔。悪い奴の風情がするのに、子娘に振り回され意外にいい奴だった(笑)。
宋存壽は、台湾の監督。1999年の東京国際映画祭「シネマプリズム」で上映された林青霞(ブリジット・リン)の《窗外》と《古鏡幽魂》の2本を見たことがある(この時はもう1本《母親三十歳》というのが上映されている)。《窗外》は、女生徒と教師の恋いを描いたもので、教師が、女生徒に夢中になり人生を踏み外すという話しだったと記憶している。これも林青霞(これがデビュー作)でもっていたような気がする。ということは、少女つかいのうまい監督ということか。
30年前の《早熟》も爾冬陞(イー・トンシン)の《早熟》(id:hkcl:20050501#p1参照)もやはり早熟という言葉は女性のためにあったようだ。


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