呉彦祖と楊千嬅

2度目の《千杯不酔》を見たので、石琪先生の「明報」の記事訳を載せておく。

呉彦祖ダニエル・ウー)と楊千嬅(ミリアム・ヨン)は、成績のよかった《新紮師妹》の2作品でスクリーン上のカップルになった。この映画では婦人警官役の楊千嬅のユーモアと危機が主題。新作《千杯不酔》になって、初めて正式なラブコメになった。特に驚くようなことはなく通俗的だが、ふざけ過ぎではない。
《千杯不酔》の成績はすべて楊千嬅によるところが大きく、彼女に焦点があたっている。昨年彼女は陳果(フルーツ・チャン)監督の《三更2之餃子》でコメディエンヌ路線を変更、憂鬱な上流社会の有閑マダムに扮したが、大胆な白霊(パイ・リン)に美味しいところを持って行かれた。今回、楊千[女華]はバドガールに扮し、親しみがあって、アクティブな喜劇感覚を持った役という本質にもどった。
劇中、呉彦祖は、ハンサムで気の多い男、しかし楊千[女華]ほど豊富な表情を見せることはなかった。呉彦祖は正統派の恋人を演じるとごく普通になってしまう、自分の好みの人物像は自分でも自覚しているようで、薄情な役ほど真にせまっている。いままで彼が演じた中では、悪役や世間の片隅に生きる役柄の方が奔放で突出している。
爾冬陞(イー・トンシン)監督の《千杯不酔》は12年前の《新不了情(つきせぬ想い)》と一脈通じるところがある。ともに「上流」の主演男優が失敗をし、「下層」の主演女優の心からの手助けを得える。旧作の方が悲劇性が強い。抜け殻になっている作曲家の劉青雲ラウ・チンワン)は廟街の不治の病の少女・袁詠儀(アニタ・ユン)を好きになる。今回は高級フランス料理の専門家が火鍋屋のバド・ガールの説得力ある姿を好きになる。
呉彦祖は、最近の香港映画で注目すべきき若手俳優のひとりだ。1998年、楊凡(ヨン・ファン)監督の《美少年之恋(美少年の恋)》で主演、同性愛の警官を演じて注目された。外見もよく、文武両方を演じられ、正も邪もできる。彼の主演した《大佬愛美麗》はおおいに受けた。《新警察故事(香港国際警察)》の悪役は出色だった。さらに爾冬陞の《旺角黒夜》で演じた悲しき殺し屋、今年再び陳木勝(ベニー・チャン)の《三岔口》で演じた狂った殺し屋、それぞれわけて演じている。彼は新時代の性も国境も言語もカテゴリーも飛び越えている俳優だ。どの類型にもどの地域にも属していない。しかしそのことがかえって、スクリーン上では彼の外見が鮮明に写り、内にもった性格は明確ではないことが、彼のフレキシヴィリティさえも高めているのだ。by 2005.8.25「明報」 石琪記

かなりな褒め言葉が連なっている。
さて、今日の《千杯不酔》では成龍ジャッキー・チェン)の《神話》のトレイラーが、もう1つの映画(これについてはのちほど)では劉徳華アンディ・ラウ)の《童夢奇縁》と、甄子丹(ドニー・イェン)、任達華(サイモン・ヤム)、洪金寶(サモ・ハン)、呉京ウー・ジン)、葉偉信(ウイルソン・イップ)監督《殺破狼》のトレイラーが流れて興奮。かっこいいいいいい。公開日はいつなのさ〜。