《黒社会》上映2日で200万香港ドルを稼ぐ

杜琪峰(ジョニー・トー)監督の《黒社会》は20日(木)の初日に100万香港ドル以上を稼ぎ、翌日21日(金)もほぼ同様で2日で200万香港ドルに達した。同じ20日から上映の始まった劉徳華アンディ・ラウ)、楊采妮(チャーリー・ヨン)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)主演の《再説一次我愛你(愛と死の間(はざま)で)》の成績も悪くなく、初日84万香港ドル、翌日は88万香港ドルで、出だしはよい。市場は冷えているが、よい映画があれば、まだ観客を映画館に引き付けることはできるのだ。
また劉徳華の《童夢奇縁》は10月21日までの上映23日で累積2000万香港ドル近くまでのばして累積で1位におり、2位の上映29日の成龍主演《神話》に200万香港ドルの差を付けている。by 2005.10.23「明報」

このところ鳴りもの入り大作の興行成績がよろしくない。《七剣》しかり《神話》しかり。どちらも大陸での興行成績は好調のようだ(もともとπが違うのだから一概に数字の大小では比べられないと思うのだが、一応)。このあたりが今後香港映画が歩んでゆく道をよく表しているのかもしれない。
古装片(大作時代劇)は、大陸や日本や韓国と合作して、主に大陸市場や海外市場を主な稼ぎ先として、香港は取りあえずの興行。香港だけ(もしくは主に香港)をターゲットにするものは、香港という土地に根ざしたローカル性をより強固にし、香港でしか撮れないものを、香港の観客のために撮って行く。ローカル性を備えたものの方が私には断然魅力的。国際性などとバカなことを考えて、ローカル性がなくなると、とたんにつまらなくなる。そして実はこのローカル性こそが、本当の意味での国際性をもち得る映画を作る重要な要素だというのに。ただし、そう簡単に王家衛(ウォン・カーワイ)や呉宇森ジョン・ウー)や杜琪峰(ジョニー・トー)は生まれてこないのだろうけど。