無極(PROMISE)

《無極(プロミス)》
真田広之チャン・ドンゴン張栢芝セシリア・チョン)、謝霆鋒(ニコラス・ツェ)、劉[火華](リュウ・イエ)、陳紅(チェン・ホン)、陳凱歌(チェン・カイコー):監督


神と人間が一緒に過ごしていた時代。少女は生きるため、戦禍の中、死人の手から饅頭を奪い、足から靴を奪った。しかし少年に捕まる。饅頭が欲しい少女は赦しを請い、少年の奴隷になると約束した。少年は少女を信じ放してやるが、少女は約束を顧みず少年の手から饅頭を奪って逃げた。しかし湖に饅頭を落とした少女は、悲観にくれる。そこに満神が現われ少女に言う、「お前は世界中の男が手に入れたいと思う女になりたいか?そのためには、お前は永遠に真実の愛を得られないがそれでもいいか?」。少女はうなずく。少女の名は「傾城」という。


真田広之チャン・ドンゴン謝霆鋒の3人がよい。真田広之は、何処まで自分で動いたか不明だが、アクションが出来た事が、将軍という役に見えないところでも大いに役立っていることだろう。それに時に尊大だが、「傾城」(張栢芝)に心を奪われた情けない中年の顔も、うまいことはまっていた。添え物程度の出番かと思っていたが、実は主役だった。チャン・ドンゴンは、粗暴そうだが、実直で心は優しい奴隷。目で物を言う。謝霆鋒は、張國榮レスリー・チャン)を彷佛させると監督が言ったとネットなどで書かれていたが、見るとすぐその意味が分かる。謝霆鋒にはまだ演じ切れていないが、こういう役を当てた陳凱歌は目がいい。
劉[火華]も含め、男性陣はみな相応しい役を与えられており、見どころもある。張栢芝はどうだろうか? 「世界中の男が手に入れたい女」かな? なんせ「傾城」で、簡単に言ってしまえば、男どもが女の為に戦う話なのだから、それなりの妖気か、誰も触れられないような絶世の美か、どちらかがないと話しが成り立たない。張栢芝にはどちらも足りないと思う。男たちがいいだけに、もったいない。


真田広之の衣装(着物に近い衣装もあり)、住まい(建築)、室内装飾などに、日本的なものを感じるが、これは日本人が関わっているからか、それともこういう雰囲気が欲しくて日本人を起用したのか。特に「桜」を描いたことで、日本的なものが強調されている。こういう状況もあって、真田が出てくる場面は、一気に日本映画的(黒澤明を意識したのかな、やっぱり)。衣装は総じて綺麗に出来ている。
大量のCG(「先濤(セントロ)」が担当)が使われており、時に滑稽な部分や、リアリティのない場面もあるが、許せる範囲なのか。神話の時代だから、まあいいといえばいいが、あとちょっと。


台詞は、真田広之チャン・ドンゴンは自分の声と非常に声の近い吹き替えが混在しているように感じた。ただ、口は北京語を話しているので、撮影では台詞を言ったのだろう。張栢芝は全面的に吹き替えられており、まったく違う声。謝霆鋒は自分の声、もしかしたら、ほんの一部分吹き替えがあるかも。
全体的には、思ったより面白かった。男どもの為にもう1回見てもいいとは思う。
なお英語題の「プロミス」は、すべては約束から始まるということで、納得がいくと思う。そしてこのポスターの意味も分かるだろう。2005.12.18@旺角百老匯


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