香港映画の「香港的特色」とは?

現在、香港の映画界は大陸市場に頼み、大陸との合作映画が香港映画を救ってくれる出口のように思われている。しかし報道によると大陸政府は、合作映画の規定を厳密に施行するという。それには映画の内容、大陸人の占める割り合い、1本の映画で香港版と大陸版の2種類を作ることの禁止も含まれており、以前のような具合にはいかなくなるようだ。香港映画は香港的特色を失ってしまうのではないとか心配する者もある。
私は大陸市場が香港映画を救えるのかどうか分からない。この問題は大変に複雑だ。しかしこの合作映画の規定が香港映画の特色を失わせるものではないと思っている。理由は簡単だ。これまで香港人が思っていた「香港的特色」は、いまやすでに崩壊しており、香港人も香港映画を見なくなっているからだ。現在、香港映画が「香港的特色」を描き出したとしても、香港では人が入るとはかぎらない。
それに反して、今日大陸は「香港化」している。昨年の《七剣》《神話》《情癲大聖》などの香港映画は、香港での興行収入と比べられないくらい大陸では稼いでいる。大陸の監督・陳凱歌(チェン・カイコー)は香港、日本、韓国の映画人で《無極(PROMISE)》を撮ったし、古龍と除克(ツイ・ハーク)にCGを加えても香港では人が入らないが、大陸では成績がよかった。このような「香港的特色」が、大陸の審査を通らないと心配する必要はないのではないか。大陸がどんどん「香港式」になることの方が心配ではないか。
大陸政府の基準はいつもはっきりしていない。変更は予想がつかず「責任者」の思惑が大きい。以前のこと、《投奔怒海(望郷・ボートピープル)》*1は明らかに反共思想の映画だったが、撮影時大陸の協力を得る事ができた。現在大陸では不倫映画は厳禁だと聞いているが、近年大陸で興行成績の良かった《手機》*2は、明らかに不倫映画だった。
今回本当に厳格に施行するのだろうか?観察しておかなくてはならない。大陸の開放傾向を元に戻し、閉鎖的にすることは難しい。電検の尺度はますますハリウッドの主流映画を基準にするようになっている。また「商業娯楽性」をもった中国産の映画だけが、ハリウッド映画と互角に勝負できると、これを奨励しているのだ。by 2006.1.24「明報」石琪記

これには続きがあるので、続きを訳してからなんか言おうっと(笑)。

*1:《投奔怒海(望郷・ボートピープル)》監督は許鞍華(アン・ホイ)、劉徳華アンディ・ラウ)出演。

*2:《手機》は、馮小剛(フォン・シャオガン)監督、主演は葛優(グウ・ヨウ)。