冷暖青春

《冷暖青春》南紅、曾江、朱江、方心、張清、沈殿霞、狄娜、石修、秦沛、馮淬帆、森森 
楚原:監督 1969年


運転手付きのロールスロイスで学校に乗り付ける金持ちのボンボン(張清)と妹(森森)、彼に群がる学生たち、お金持ちのお嬢様(方心)と彼女に思いを寄せる苦学生(朱江)、彼を援助している兄貴分の学生(曾江)、弟(秦沛)の為に働き敬けんなキリスト教徒の姉(南紅)など、大学を中心とした若者の生態を描く。
可笑しいのはとにかくことある事に「今の社会は云々」という台詞が多い事、「金が有れば何でもできる世の中だ」とか「勉強して何になる」とか「大学出ても就職出来ない」などという台詞も登場。アメリカにいる叔母や母が学費を出してくれているという設定(実は嘘)もある。金持ちをおだてておごらせてみたり、ダンスパーティーを開いたり。海で遊んだり、試験の答案を盗み出してみたり、カンニングに一生懸命だったり。スターになりたいと、身体を売ろうとしたり、さらに大学生がヤクの運び屋をやって学費を稼いでいたり、女性を強姦して写真を撮って恐喝してみたりと、ヤクザまがいな行為に手を染めている者もいる。
日活あたりの影響もありそうで、見ていて《狂った果実》(1956年)をちらと思い出し、若者がナイフを持って切りあうところは、まんま《ウエストサイドストーリー》だった。
今回の特集でこれまで見た楚原の映画は、言語は広東語だが、字幕が無かった。唯一これには中文と英文の字幕がつき、西洋人も見にきていた。この西洋人たち《ウエストサイドストーリー》風のところではすかさず「お〜、ウエストサイドストーリー」と言い、最後には「ブラボー」と言って手をたたくはしゃぎっぷりだったが、いやホントに「ブラボー」といいたい気分だった。最後は見事に説教臭くて、臭くて、見ていて笑いが止まらなかった。
それにしても、沈殿霞(リディア・サム)はすでに小デブちゃんだったが、曾江(ケネス・ツァン)、朱江(チュウ・コン)、石修(セッ・サウ)、秦沛(チョン・プイ)のスマートで若い事ったらない。
2006.2.4@香港電影資料館「玫瑰・蝴蝶・紅葉:楚原的秘密花園」


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