奸情

《奸情》白燕(左)と呉楚帆呉楚帆、白燕、李清、黄曼梨、容小意、石堅 
王鏗:監督 楚原:脚本 1958年 モノクロ


名家で起こった殺人をめぐる推理劇。
ある夜、ある名家で、大奥様が殺されているのを長男の妻(白燕)が発見した。駆け付ける家族たちに第一発見者の長男の妻が殺人犯と疑われる。大旦那(石堅)は、妻が誰かに殺されたとあっては、家の名誉に関わると、妻は心臓発作で亡くなったことにした。長男の妻は自分が疑われてはたまらないと、ちょうどいい具合に元警察官で、いまは小説家という友人(呉楚帆)が、小説執筆の為に別宅を借りたいとたずねてきたので、密かに真相を探って欲しいと頼む。しかし別宅の管理をまかされている女執事(黄曼梨)が眼を光らせて、友人の行動を見張っていた。
大奥様が亡くなってからというもの、長男(李清)は、やる気をなくし、酒ばかり飲んでいる。妻(白燕)との関係もぎくしゃくし、妻は別宅に住むと言い出す。この機会に友人と大奥様殺しの真相を突き止めようという腹だ。そんな折り、突然大旦那は、長男と従兄の嫁(容小意)が深夜密かに庭で密会していたといいだし、従兄の嫁を別宅に送った。
いったい家族の誰が大奥様を死に追いやったのか? 長男は何を心に隠しているのか。大旦那と女執事の関係は・・・。


史得の筆による「新晩報」の連載小説を脚色したもの。
ここでも映画の冒頭部分、雨の降る中、誰かが誰かに襲い掛かっているシルエットが窓に写る。カメラが引くと、庭には男が立っていてそのシルエット眺めている。そして長男の嫁は、隣に居るはずの夫がいないのに気付き、夫を捜しているうちに大奥様の死体を発見する、という始まりが印象的だ。
推理劇としてもとても面白かった。解説ではヒッチコック風と評価しているが、なるほど西洋風な感じがした。全編家の中の描写だが、家や家具などもすべて洋風でモダンな作り。白燕も西洋人のような風貌、グラマラスなスタイルと服装で、彼女が登場すると画面がいっきに西洋風になる。
そういえば、今回の特集で見た楚原の作品はどれも、セットがとてもモダンで、名家や名媛(セレブ)などが主役のものがほとんどだった。
2006.2.11@香港電影資料館「玫瑰・蝴蝶・紅葉:楚原的秘密花園」


この特集は、このあと19日(日)、26日(日)にも上映があるが、時間があるかどうか分からない。また4月には香港国際映画祭にあわせて謝賢、嘉玲らが出演する「光藝」のものを上映する。これらもなんとか時間をやりくりして見に行きたいと思っているが、はたしてどうなるか。


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