杜琪峰《辣手神探》でハリウッドへ

周潤發(チョウ・ユンファ)と杜琪峰(ジョニー・トー)は知り合って30年近くになる。名作《阿郎的故事(過ぎゆく時の中で)》で組んで以来、2人は一貫して西洋映画を撮りたいと思ってきたが、その夢が現実となるようだ。あるアメリカの会社が4億香港ドル近くを出資、ハリウッド版《辣手神探(ハード・ボイルド 新・男たちの挽歌)》を撮影、2人が手を組むようだ。
周潤發は2年の休暇を終え、撮影を再開、演技好きの本領を発揮、許鞍華(アン・ホイ)監督《姨媽的後現代生活》のあと、現在は北京で張藝謀(チャン・イーモウ)監督《満城盡滞黄金甲》を撮影、6月には内戦を題材にした西洋映画《Bitter Sea》*1を《ハムナプトラ/失われた砂漠の都》の主役ブレンダン・フレイザーと共演、今年末には再び北京へ行き呉宇森ジョン・ウー)監督《赤壁之戦》を、そして来年5、6月には杜琪峰と西洋版《辣手神探》を撮影する。
・旧作とは違う
かつて呉宇森は、《辣手神探》と《喋血雙雄(狼 男たちの挽歌・最終章)》でハリウッドへ進出、後に、あるアメリカの会社がこの2作の西洋版の版権を買っていた。2年前、すでに主役は香港版の周潤發ということで、呉宇森と《辣手神探》の西洋版について話し合っていたが、呉宇森は同じ題材で撮る気は無いと断っていた。
しかし映画会社は、西洋版《辣手神探》を諦めておらず、昨年になり再び、会社の上層部が周潤發と連絡を取り、周潤發が友人でもある杜琪峰をこの映画の監督に推薦した。映画会社は杜[王其]峰の作品を見たあと、大いに気に入り、さっそく社員を送り彼と話し合い、お互い初歩の話し合いでおおまかなところが決った。投資額は5千万米ドル(約3億9千万香港ドル)になる。
周潤發と杜琪峰は90年の《吉星拱照(ゴールデン・ガイ)》のあと、すでに16年一緒に映画は撮っていない。多くの観客は2人が再び手を組むのを楽しみにしている。昨日、周潤發は電話で、「来年、たしかに阿杜(杜琪峰)と組んで《辣手神探》を撮る。彼を推薦したのは僕じゃない。彼が素晴らしいから、みそめられたんだよ。僕と彼はTVB時代に知り合って以来の30年の友人だ。僕はハリウッドで少し知名度がある、だから自分の友人にもハリウッドへ行って活躍して欲しいと思っているよ」。
周潤發は続けて「阿杜の最近の作品を見ている。たとえば《PTU》《鎗火》《黒社会》はどれもいい。彼の演出技術はすでに大御所といっていい。十分な経験を持って他の地で活躍ほしい。香港に留まっているべきじゃない。《辣手神探》が彼の国際的映画へ始まりになればいいと思う」。
杜琪峰は昨日インタビューで「はじめての西洋映画の相手が發仔なのは嬉しい。彼がいれば、西洋映画を撮るどんなプレッシャーも感じないだろ。この映画は、タイトルを除けば、呉宇森の映画とはまったく違うもの。映画会社は別のストーリーを書かせている。ただし映画の種類は変わらない。2人のストーリーの骨組みは同じで、うち1人の警察官は發仔が演じる。もう1人はハリウッドの俳優をオファーする。映画は銃撃場面が主で、發仔は危険なアクションシーンをする必要はない。いま僕は香港で撮影しながら、この西洋映画を準備している」。by 2006.3.14「蘋果日報

ついに杜琪峰もハリウッドですか(ため息)。周潤發と組むのは嬉しいけど、いまの杜琪峰のスタイルは、この映画では影が薄くなるだろうな、たぶん。がっかり。

*1:《Bitter Sea》については、ココココにちょっとだけ。