光藝「難兄難弟」映画

左から《難兄難弟》の謝賢、胡楓、嘉玲「光藝粤語片回顧展」*1は、すでに電影資料館で開催され前半が終わった。後半は5、6月と続いて上映され、映画ファンは、当時の謝賢(パトリック・ツェ/チェ・イン)、嘉玲(ガーリン)、南紅(ナムホン)、江雪(コンシュ)の姿を楽しむことが出来る。
電影資料館は、評論、口述による歴史、詳細な資料が掲載されている「現代萬歳−光藝的都市風華」という厚い本を出版している。一気に読んでしまった。レトロな雰囲気を味わうとともに、多くの発見があり、眼を開かれる思いだった。
本書の中の幾つかの評論は、光藝の難兄難弟映画の特色に言及している。創業最初の映画が、色街の女性を描いた《[月因]脂虎》であったように、光藝の多くの作品は女性映画で、光藝といえば女優が思い出される。しかし黄愛玲が書いているように、光藝の難兄難弟映画は注目に値するものだ。初期の《七重天》の写実的文藝作品から初まり《歓喜冕家》、《難兄難弟》、《春到人間》などの女性を追い掛ける喜劇、さらに変化して《鐵膽》、《英雄本色》の写実的アクションへ。これらはその後の香港映画の原形を見せているといえるだろう。
何思穎は、難兄難弟映画は他にもあり、けして光藝がつくり出したものではないが、光藝は7作品を撮影しており、主演男優はどれも謝賢で、その内容は変化に富んでいると言う。1960年の《難兄難弟》と67年の《英雄本色》は、ともに香港映画のバイブルだ。
秦剣監督《難兄難弟》は、仲のよい友人が女性にアタックする喜劇映画の典型で、この後、香港のテレビや映画は、この題材を何回となく使ってさまざまな作品を作ってきた。《七彩難兄難弟》だけでなく、1982年、石天(ディーン・セキ)、呉耀漢(リチャード・ン)の《難兄難弟》を新藝城で麥嘉(カール・マッカ)が撮っている。1993年には梁朝偉トニー・レオン)、梁家輝(レオン・カーファイ)の《新難兄難弟》を陳可辛(ピーター・チャン)と李志毅(リー・チーガイ)が監督している。さらに70年代の許兄弟(ホイ・ブラザース)の喜劇もまた、難兄難弟の一種といえる。
龍剛(ロン・ゴン)監督《英雄本色》は、善悪の異なる道を歩む本当の兄弟を描き、当事としてはとても特殊なもので、後に呉宇森ジョン・ウー)が撮った同名の傑作に大きな影響を与えている。(上)by 2006.4.25「明報」石[王其]記

これら古い映画には興味がない人が多いと思うが、いま私はこれこれらの映画が面白くてしかたがない。いろいろな意味で勉強にもなる。また今週末が楽しみ。
それとこれらの映画にはよく羅蘭がお手伝い役で登場している。羅蘭は昨年だったか、芸能生活を引退している。実は羅蘭は敬虔なキリスト教徒。昨日、今日とTVBバチカンを訪ねる番組のレポーターをしているが、嬉しそうでとっても可愛い。

*1:「光藝粤語片回顧展」正式なタイトルは「光藝的都市風華」。