瘋狂的石頭(クレイジー・ストーン 〜翡翠狂騒曲〜)

《瘋狂的石頭》郭濤(クオ・タオ)、劉樺、蓮晉 
寧浩(ニン・ハオ):監督


舞台は重慶。古い街と新しいビルが不思議なコントラストを醸し出す場所。ある工場から大きな翡翠が発見された。工場長は展示会を開いて翡翠を展示しようと考える。
登場人物は、翡翠が発見された工場の工場長。工場長のどら息子で、女性を口説くのが仕事のような自称カメラマン(くどき方がばからしくて笑う)。工場長の部下で宝石展示会の警備をまかされる主人公。宝石を横取りしようとする強盗団。世界的に有名な宝石泥棒の香港人。これらの人々がこの大きな翡翠を巡って繰り広げる狂想曲。


とにかくテンポがよくて、面白い。台詞は重慶なまりだと思うが、これで台詞がそのまま分かったら、さらに面白いだろう。陸川(ルー・チュアン)の《尋槍(ミッシング・ガン)》を思い出したが、さらにテンポはいいし、見せ方がうまく、若々しくて映画に勢いがある。いままで見た事のない娯楽中国映画だった。
出演者が絡み合っているのだが、その絡み方が、ブラックユーモアたっぷりで、笑う笑う。1つの場面を別の人物の視点でくり返して見せるという方法を何回も使っているが、普通ならこれが冗漫な感じを与えるのに、この部分がとても面白い。ハンサムな俳優など1人も出てこないし、美人の女優も出てこないが、出演者の誰もが個性的な顔だし、役もはっきりしていて魅力的に面白い。みんなどこかしら抜けた阿呆なところがあるのも、多いに笑う要素。


現在中国大陸でヒット中で話題だというのに、今日の客席は60人ぐらいだったのではないか。香港の劉徳華のファンというのは、こういうものには興味をまったく示さないのだろうか?(これは劉徳華が出資している「亞洲新星導」のひとつだというのに)それに劉徳華の歌も使われているし、思わぬところで劉徳華関連の思わぬものが出てきて、その使い方にも笑ったのに。


会場には寧浩監督も来ていて、上映後ティーチインがあった。映画が終わると、多くない観客のほとんどが席を立ってしまい、残ったのは15人ぐらい。お答えが北京語なので、分かったのは1割りもないのだが・・・。
劇中、人を騙すということがたくさん出てくるのだが、これは何故かという質問には、「香港は安全なところで、そんなことはあまりないと思うが、大陸には人を騙す人がいっぱいる」。何故重慶を選んだかには「重慶は、古い街と最先端のビルが同居している。そういうところだから、こんな馬鹿なことが起きる」。というようなことを話していたような(自信無し)。
2006.8.3@「SUMMER POPS電影節」UA朗豪坊
追記:仕事場の上海人が言うには、中国の方言の中でも広東話(広東語)と四川話(重慶は四川話)は、コメディができる言語だそうだ。そういえば《尋槍》も四川話だったのでは。


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