鮑徳熹の撮影術

《臥虎蔵龍(グリーンディスティニー)》で、初めて中国人でオスカー最優秀撮影賞を受賞したカメラマンの鮑徳熹(ピーター・パウ)は、自らカメラを覗いたソニーBRAVIA液晶テレビの中国の最新CMで初めて主役をつとめた。


・赤色を基調に
藝術一家に生まれた鮑徳熹は、いままで5度香港電影金像奨最優勝撮影賞を受賞している。
「広告の監督と撮影ということでいえば、かつてたくさん撮っているが、CMの中の人物になるのは今回が初めてだ」と笑って話した。
CMでは伝統的な中国風の部屋と精緻な古い棚、深紅の壁は激しく熱烈でエキサイティングで静かな背景になっている。「私は特別な赤い色が好きだ。深い赤、正真正銘の濃い赤。それに赤は映画の主調でもある」。鮑徳熹は赤は古来より中国人の色、多くの中国映画はこの赤を基調に選んでいて、強烈な衝撃と深い印象を与えているという。


・ハリウッドに学ぶ必要はない
カメラマン鮑徳熹は、《臥虎蔵龍》《英雄(HERO)》《十面埋伏(LOVERS)》《黄土地(黄色い大地)》などが世界的な認識を得ているその重要な要因は、これらの映画は世界各地の観客に違った角度で中国文化の多彩な姿を見せたことで、世界の中国人に対する見方を変えさせたからだと話した。
中国映画の未来について鮑徳熹は、中国映画の商業化と藝術は両方とも重要。商業映画の撮影では、ハリウッドと同じように大衆娯楽であると同時に、中国人の生活を反映し意義のあるものを含んだすぐれた映画を撮る必要があると話す。「中国には4千年の文化がある。映画については、さらに掘り下げ発展させる必要がある。中国人はコピーが多すぎる。私達はハリウッドに似せる必要はない。私達は独特なものを持っている。より深い作品を撮ることで、それが私達中国のブランドになるのだ」と話した。by 2006.8.5「大公報」

最初はまねることも必要だが、いずれはそこから抜け出し、独自のものをつくり出す力が最も大切だ。映画についていえば、どこの国/地域の映画もハリウッド風になったら、つまらないこときわまりない。