金像奨受賞編集者、異郷で客死

香港の映画産業は低迷を続けている。仕事不足は深刻。大陸で仕事をする人もいる。かつて2度香港電影金像奨最優秀編集賞を受賞した編集者・奚傑偉は、先月、湖南のテレビ局のテレビドラマを編集中に突然、亡くなった。残された家族は4人。遺族は賠償金の額が少ないと不満を訴えている。


亡くなったのは奚傑偉(46歳)。17歳で業界に入り、徒弟からはじめ、10年ほど前に編集者になった。多くの映画に参画しており、93年と95年には《辣手神探(ハードボイルド 新・男たちの挽歌)》と《重慶森林(恋する惑星)》で香港電影金像奨最優秀編集賞を受賞、91年と94年には金馬賞最優秀編集賞も受賞している。


3年前、奚傑偉は湖南籍の妻と結婚、子供が1人おり、今年2歳になる。
近年、香港の映画産業は低迷、奚傑偉は大陸へ行き仕事をしている。先月は、湖南のテレビ局で30話のテレビドラマを編集していた。1話3000元。奚傑偉は、仕事がしやすいように、長沙のホテルの1室を借り、編集機材を置いていた。
先月27日、奚傑偉は、仕事中に突然不調を訴え、帰らぬ人となった。奚傑偉は特に大きな病気もなく、常に徹夜で仕事をしているわけではなかったので、突然のことに、妻は驚きをかくせない。またテレビ局とは正式な雇用契約を結んでおらず、法的な保障を得られないと妻は話す。
奚傑偉は、この仕事のために20数元でデジタルの編集機材を購入しており、不幸にして亡くなり、たった18万元の葬儀代が支払われただけで、編集機材の支払いにも不足、奚傑偉の妻は、保障額の増額を望んでいる。


香港電影剪輯協会名誉会長の張耀宗は、大陸で仕事をしている多くの会員は臨時雇いの場合が多い。仕事は数か月で、多くは仕事場も会社もきまった場所はない。臨時の契約で、宿泊、食事、エアとケットなどは会社が支払ってくれる。病気などについては、良心的な会社は保障をしてくれるという程度。特にきまった保障はなく、編集者は収入にも限りがあり、また香港を離れて仕事をしているため、自分で保険をかけることも出来ないと話す。


奚傑偉は、編集者の蒋國権に師事し、近年は劉鎮偉(ジェフ・ラウ)、元奎(コーリン・ユエン)などの監督と仕事をしていた。張耀宗は、記憶では周星馳チャウ・シンチー)との仕事が最も多い編集者で、周星馳主演の《西遊記》《少林足球(少林サッカー)》などは奚傑偉の編集によるものだと話す。協会では、上記の監督らに残された家族のために寄付を呼び掛けている。また周星馳事務所の田啓文(ティン・カイマン)は、この知らせを聞き、奚傑偉の家族に御悔やみの言葉をよせている。by 2006.8.11「東方日報」抜粋