落葉帰根(帰郷)

《落葉帰根》
趙本山(チャオ・ベンシャン)、胡軍(フー・ジュン)、宋丹丹(ソン・タンタン)、郭濤(グオ・タオ)、 廖凡(リアオ・ファン)、郭徳綱、夏雨(シア・ユー)、午馬(ウー・マー) 張楊チャン・ヤン):監督


シンセンで働いていた趙(趙本山)は、職場で知り合った雲南出身の友人・劉が死んだら、背負ってでも故郷に返してやると約束していた。ある日、劉はほんとに亡くなってしまい、趙は約束どおり劉を故郷につれて帰ろうとする。
まずはなんと酔っぱらった友人として死人をバスに乗せてしまうのだが、途中バスが強盗に襲われる。金や金属を要求する強盗(郭徳綱)に、死人のお金は取れないだろうと、ことの顛末を話す。強盗は趙の義侠心に感じ入り、取った金や金属をすべて趙に渡して去る。ところが、乗客たちは死人と一緒の旅はごめんと、運賃の返還を叫び出した。しかたなくバスを降りる趙と死人の劉。趙はほんとうに劉を背負って歩き出した。趙は劉を故郷に返すことができるのか・・・。


ロードムービー。なんといっても主役の趙本山がとても魅力的。ひょうひょうとしていて、朴訥だが、時にホラともその場しのぎとも取れるような話しをしてみたりするが、その言葉の中に人の生き方の道理がちりばめられている。趙本山は喜劇役者だそうで、その演技に納得。
趙が出会う人々も、強盗(郭徳綱)、失恋したトラック運転手(胡軍)、生前に葬儀をあげてしまう孤独な老人(午馬)、自転車でチベットを目指す若者(夏雨)、人のいい警察官(廖凡)、子供の学費のために売血する女性(宋丹丹)、妻のために人里離れ養蜂業を営む夫(郭濤)など、みな魅力的な人物。あちこち横道にそれながら、途中、趙は恋もしてしまったりもする。趙は、劉を家に帰してやることを苦痛だとか、面倒だはとちっとも思っていない。意外に楽しそうにしている。なんとか劉を故郷に返してやろうとする愚直な姿は滑稽でもあり、さまざまな人との出会いにほろっとさせられる。
香港では土地が狭すぎてロードムービーはありえない。日本も似合わない。ロードムービーは、広大な田舎のあるアメリカ、ヨーロッパ、中国で初めて成り立つ話しだ。
そうそう、映画に土管が登場する場面があるのだが、土管なんてものは最近全く見なくなってしまった。2007.2.18@百老匯電影中心


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