愛殺

《愛殺》の林青霞林青霞(ブリジット・リン)、秦祥林、張國柱、劉天蘭、龍剛 
譚家明(パトリック・タム):監督


サンフランシスコで学生生活を送るアイヴィー(林青霞)は、同級生(劉天蘭)が自殺未遂を起こしたため、彼女の兄・柱忠(張國柱)をサンフランシスコに呼び寄せた。柱忠とアイヴィーは互いに好意を持つが、妹は兄がアイヴィーとつき合うのを快く思っていない。そんな時、妹は交通事故をおこし亡くなる。このころからアイヴィーは柱忠の行動におかしなものを感じるようになる。柱忠が急用が出来たと香港に帰ったあと、アイヴィーは柱忠が香港で結婚していたことを知る。さらに香港の新聞で見た妻殺しの犯人が柱忠ではないかと疑う。もう柱忠は戻ってこないと思っていたアイヴィーの元に突如柱忠が現れ、結婚をせまるが、柱忠の異常な行動は前以上になっていた。柱忠はアイヴィーを探して求めて彼女の下宿へ侵入、同級生をつぎつぎと殺害していくのだった・・・・。


事前に予習をしていなかった私、てっきりタイトルから連綿としたラブストーリーかと思っていたが、柱忠も妹も精神を病んでいるという設定で恐怖映画だった(笑)。全編サンフランシスコでロケしているのに、出てくるのは香港人(という設定)で、裕福な家庭育ち。富裕層を描くというのは、《烈火青春》《雪兒》などでも同じで、新浪潮と言われた頃の譚家明映画の共通項か。
この映画で特徴的なのは美術で、張叔平(ウィリアム・チョン)が担当しているのだが、青、白、赤の3色を基調とし、大胆な色の配置をスクリーンに作り出しており、モンドリアン的と言われている。色と相まって、カメラもかなりスタイリッシュな構図を作っている。またタイトルバックのクレジットでは、後に王家衛(ウォン・カーワイ)映画でおなじみになる文字だけを画面に大写しするデザインがすで採用されている。こんなところも、王家衛が大いに影響を受けたと言われる所以の一つであろう。
いま見ると張國柱の行動は滑稽に見え、つい観客は笑ってしまう(ちなみに張國柱は、張震の父だがこの親子はあまり似てない)。
この映画、フィルムは国語版しか残っておらず、今回の修復で、国語版フィルムに広東語版台詞を合わせた。
2007.4.1@香港電影資料館


《人在江湖》を見て、ティーチインが終わったのが7時47分ごろ、日曜日の夜なので、絶対に道はすいていると踏んで、大会堂からタクシーを飛ばし13分で西湾河到着。走って会場入り、頭を少し見逃したが、タイトルバックにはなんとか間にあった。


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