武松

好々爺な谷峰狄龍、劉永、汪萍、谷峰 
李翰祥:監督 1982年 邵氏


饅頭売りの武大郎(谷峰)は背が低く顔も醜いが心は優しく弟の武松思い。弟は兄がなじられるのに耐えかね暴力を振るって大損害を与えてしまい、兄は弟を修行に出すことに。武術を身につけ立派になって帰ってきた弟(狄龍)だったが、またも正義感に燃えて騒ぎを起こし、兄が弟を庇って投獄され、弟を逃がしてやった。弟は獰猛な虎がいるという山へ赴き、見事虎を退治して英雄となって村へ戻ってきた。兄は纏足の美しい嫁・潘金蓮(汪萍)をめとっていたが、実は嫁は奉公先の当主のお手つきになり、無理矢理に嫁がされていた。欲求不満の溜まっていた嫁は、武松を誘惑しようとするが失敗。そんな時、帯刀を許され召し抱えられた武松に東京(開封)行きの命が下る。家を留守にする武松は、兄嫁の行動を心配し、兄に重々言い含め家を出た。数か月たって村に戻った武松が見たのは、兄の位牌だった・・・。


と「水滸伝」の物語。兄弟の情が基本にあり、その上に色気あり、武術ありの大娯楽大作。本物の虎は出るし、ヌードもある、きわどいシーンもあり、武松と西門慶の戦いでは、飛ぶし跳ねるしの大立ち回り。狄龍の一直線な男の魅力が全面に出ているし、汪萍の纏足の歩きかたやら、妖婦、毒婦ぶりも凄まじい。何よりも、背の低い醜男を演じた谷峰は見事。


というわけで、今日はたぶん当初の予定には無かったと思うのだが、谷峰が会場に来ていて簡単なティーチインあり。谷峰は観客と一緒に鑑賞していた。若者見るよりすごく嬉しかったりして(汗)。

Q:今ならIII級なんじゃないとか思うが、監督はどうしてこういう映画を撮ろうと思ったのか?
A:当時はIII級という制度はなく、児童に適するか不適かとうことで、これは不適当の方だった。ただし、これはIII級のエロを扱った映画ではない。別の角度から見て欲しい。まずこれは兄弟の情が主題だということ。当時の女性の立場を考えて欲しい。自分の気にそまない相手に嫁いで、魅力的な男に誘惑され、それに耐えられるのかどうかとか。裸が出てくるのも必然で、ちっとも可笑しいことではない。
Q:自分で望んでこの役をさせて欲しいと言ったのか?
A:これまでは、敵役ばかりやってきていて、この役は自分にとって挑戦だった。やらせて欲しいと言った。背が低い設定なので、歩き方は練習した。顔は醜くなくてはいけないので、眼はのりのようなもので止めて、眼を小さくし、ほくろを付け、つけ歯をした。

こんな事を話していた。
2007.4.6@香港国際電影節(「李翰祥電影回顧」香港電影資料館)


■□07年に見た映画一覧□■



4月7日から日本でも公開の《寶貝計劃(プロジェクトBB)》で成龍ジャッキー・チェン)の父親を演じている人といえば分かるだろうか。