域多利監獄見学

域多利監獄域多利監獄を見学した時の話をすこし。
域多利監獄は、香港で最初に出来た監獄で、1841年建設、1956年までに増改築を繰り返し、2006年閉鎖。1995年法定古蹟に指定されている。場所は中環、ハリウッドロードの中区警署と同じ敷地内にある。ちなみに《傷城》の舒淇スー・チー/シュウ・ケイ)の家の前は、域多利監獄の壁にあたる。


見学会が「走進域多利監獄歴史」(Journy of the History of Victoria Prison)と銘打たれ開催されたのは今年1月の週末(土日)で、3週間ぐらいあったように記憶している。広東語もしくは英語のガイド付き見学ツアーは、朝から夕方まで30分おきの出発で、事前にチケット購入が必要だった。
指定の時間にハリウッドロードから中区警署に入ると、見学をする人、当日券を購入しようとする人、カメラを抱えた人で中庭はごった返していた。当日券は早々と売り切れたようで、見学はままならずとも中庭だけでも写真に撮っておこうという人がいっぱい。出発の時間ごとに集まった見学者は、時間になると首から札を下げてガイドに連れられ、いざ監獄へ。
迷路のように細い廊下を通って、ガイドの説明を受けながらいくつかの棟を見て回った。古い独房にはベッドはなく、コンクリートの床にじかに寝たため、冬は耐えられなかったというし、独房にはトイレがなく、夜は馬桶(トイレの代わりの桶)で用を足し、翌朝捨てるため、独房全体が臭かったという。劣悪な環境も徐々に改善されて、昨日の写真の棟では、ベッドも備え付けられていた。ただし部屋の狭さは尋常ではなく、3畳ぐらいの部屋の片側は2段ベッド、もう方側にもベッドで、ベッドとベッドの間は人が1人立てるくらいで、ここに3人が収容されたという。息苦しいことこのうえない状態。冷房はなく、扇風機のみ。そのほか、礼拝堂のあった建物、医療施設、クリーニング室なども見学した。しかし30分ごとの出発で狭い通路は混雑しており、最後には自分のグループがどこにいったか分からなくなってしまった。
また、この時は特別に監獄をつかった藝術展が催されており、アーティストの作品が独房に展示されたり、監獄の中庭でミニコンサートが開かれていた。


この監獄見学会は、1つは香港の歴史を知ってもらおうということ、もう1つは、18棟ある施設のうち、ホールFという棟だけが保存対象に指定されていないため、ホールFも含め域多利監獄全体を保存してほしいという呼びかけが目的だった。そこで、ホールFの前には「一萬個理由不折F倉」(ホールFを取り壊さない1万個の理由)というコーナーができており、そこでは絵馬に願いごとを書いて下げるように、見学者が「ホールFを取り壊さない理由」を書いたカードを下げるようになっていた(写真)。


香港の古い建物は見ていて面白いし、まして監獄など、めったに覗ける場所ではないので、とても興味深く見学し、写真もいくつか撮っている。時間ができたら、flickrの方にまとめてみようかと思う。