「重見・重建」

「重見・重建」「重見・重建」許芷盈:著 三聯書店 HK$75
建て替え(重建)が進行している深水埗地区の、醤油屋、自動車修理店、花牌(開店祝いや祭りの時に飾るカラフルなボード)店、ビルから木が生えてしまった不思議な建物、新聞スタンド、屋上の住宅を取り上げ、そこに住む人の話しを通して、消え行く香港の街の姿を浮き彫りにしていく。写真とイラストも収載されている。


ちょうど15日(id:hkcl:20070715)に載せた写真と同じ場所を表紙につかっていて、びっくり。青山道いったいは、かなり老築化した建物が多く、すでに建て替えのため、ところどころ無人になっている。老築化したビルは倒壊の危険があるのもたしかなので、建て替えについては、一概に反対も出来ないが、古い風情のある建物がなくなるのはやはり街の魅力が半減すると思っている。特に本書に掲載されている醤油屋など、写真を見ると是非とも残しておいて欲しいものだとつくづく思う。


建物を保存するのは、やっかいな事だ。特に民間の住宅(ビル)を保存するのは困難がつきまとうだろう。しかしなんとか古い建物を活かしつつ、魅力的な街を作って欲しい。建物は、建物(入れ物)だけなのではなく、その中に入っているもの(人)の感情が表面に滲み出ているものだと思う。だから、古い建物は魅力的なのだし、古い建物に惹かれる。建物を壊すことは、その心を壊してしまうことなのだと思う。


今日からの「書展」で見つけた1冊。