暴風漢子(嵐を呼ぶ十八人)

《嵐を呼ぶ十八人)
早川保、香山美子、松井英二、殿山泰司 
吉田喜重:監督 1963年 モノクロ


大阪から呉の造船所へ連れてこられた18人の若者と、18人を監督するように言われる男をとりまく物語。社会の底辺で搾取されながら、鬱憤をためている若者たち、流れ者の工員、バーのママとその娘、斡旋屋などが登場する。


若者の無軌道さには特に面白みはないが、18人の監督を言い渡される男(早川保)の行動が興味深い。流れ者の工員で、腕はいいらしいが、給料はいつも飲んでしまい、飲み屋に借金がある。飲み屋の娘に惚れているらしいが、どうもそれもはっきりしない。仕事が嫌になり、たこ焼き屋を手伝うが、ハンマーをにぎっていないと信用できないという。自分の存在に今ひとつ確信を持てない。18人の若者より歳を重ねた分だけ、心は複雑。しかし流れ物も紆余曲折を経て、最後には惚れた女と結婚、体制に飲み込まれて行くのか。2007.8.11@香港電影資料館「夏日国際電影節」


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