最遙遠的距離(遠い道のり)

《最遙遠的距離》桂綸鎂(グイ・ルンメイ)、莫子儀、賈孝國 
林靖傑:監督


新しい部屋に引っ越してきた小雲(桂綸鎂)に、前の住人宛のカセットテープが届いた。前の住人の移転先は分からない、小雲は思いたってテープを聞いてみた。そのうちまたテープが届く。テープが届くごと見知らぬ場所の音を聞くようになる。ある日、音の場所を尋ねてみようと思い立つ。テープを送り続けていたのは、仕事現場に遅刻して首になった音声さん(莫子儀)。旅先で録音した音を、元彼女が引っ越したのを知らずに送り続けていたのだ。精神科医の阿才(賈孝國)は、自らこそ精神を病んでいるのではと思い、台東に旅だつ・・・・。


心に空白をかかえ、愛するものを身近に感じたい、自らの存在価値を見つけたいと思う3人の旅を描いて行く一種のロードムービー


香港では出来ないストーリーだ。香港では都会の孤独がないと敢えて言ってしまおう。そんな悩みを言っていられるほど、香港は悠長な街ではない。そんな事を言っていたら、生きていられないと思うから。それに地理的な距離というのも香港の端と端ではたかが知れている、香港にロードムービーは成立しないのだから。こちらの気持ちに余裕がないと見られない映画だと感じた。


医者役の賈孝國がちょっと変な雰囲気を持った人で、3人の中では最も強く印象に残った。図体が大きく太った竹中直人みたいな風貌で、ラブホで吠えてみたり(笑)、ビンロウ売りをカラオケマイクのコードでぐるぐる巻きながらカラオケしてみたり、最後など・・・・(見てのお楽しみ)。この人のおかげで退屈しなかった。莫子儀はよく泣く男だった。


東京国際映画祭で「遠い道のり」という題で上映されるようだ。「道のり」、上手い訳だと思うけど、やっぱり「距離」なんじゃないかな。2人の間の距離や地理的な距離だと思うから。「一番遠い場所」とか「遠く離れて」とか、そんな感じかなと思ったのだが。
2007.9.23@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」


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