色、戒(ラスト、コーション)

《色・戒》梁朝偉トニー・レオン)、湯唯(タン・ウエイ)、陳沖(ジョアン・チャン)、王力宏ワン・リーホン)、銭嘉樂(チン・カーロッ)、柯宇綸(クー・ユールン) 
李安(アン・リー):監督


広州陥落後香港へ逃げ大学で学んでいる王佳芝(湯唯)は、愛国を旗印に劇団を統率する鄺裕民(王力宏)を知り抗日活動に加わる。彼らは「易」という男(梁朝偉)を殺そうと考え、香港のお金持ち夫妻と運転手などに成り済まし「易」に近づいてゆくのだが・・・。


見る前、実はベルトルッチを思い描いていたのだが、かなりイメージは違っており、物語りとして流れがあり、娯楽作品としての型が整っていて、退屈することもなく面白かった(ベルトルッチが娯楽ではないということはないのだが)。ただ2時間半がやはり少し長く感じ、前半の劇中劇の部分がもう少し短かったら良かったのではと思った。


梁朝偉はニヒルでありながら、かなりエッチくさい顔で登場。少々S気もあり。湯唯は誰かに似ているのだが、どうしても思い出せない。少女のようにも見えるし、したたかにも見える、意志の強さも見える顔。意外に低めの声がこれらの性格をより強調していたように思う。話題の梁朝偉と湯唯のベッドシーンは、全裸でたしかに中国語圏の映画にしては露出が多いし過激だと思うが、2人とも所詮はアジア人、それほど肉感的ではないし、綺麗に撮られていて不快感はまったくない。リアルというよりは絵画的。演技している王力宏は初めて見たのだが、違和感はなかったし、ハンサムに撮られていたと思う。また梁朝偉との比較から若い熱血青年という役割りだったので、得しているかもしれない。


張愛玲の小説はいろいろな人が映画化しているが、《色、戒》はこれまで見た作品とはまったく違う印象を受けた。私が見たどの映画も退廃的な雰囲気を漂わせていたのに対して、《色、戒》は暗殺計画が話しの中心にあるため全編緊張している。まさに「戒」(警戒)。そして「色」(欲望)も緊張の中でこそより激しさを増してくのだろう。


それにしてもやはり香港人はいろいろなところで笑ってしまうのだった(笑)。
2007.9.25@百老匯電影中心「香港亞洲電影節2007」


■□07年に見た映画一覧□■


カメラを持っていたので没収&III級なのでIDカード提示で入場に時間がかかり15分以上も上映が遅れた。さらにカメラ受け取り&次の回を待つ人で狭い場所で大混雑。


いまTVBで李安のインタビューが流れている、しばし見ることにしよう。あ、湯唯が広東語を話してる(少し出来るようだ)。(香港時間25:35)。