文雋が語る方中信

夫人の莫可欣が女児を産んだ。方中信(アレックス・フォン)、初めての父親、おめでとう。


僕たち友人は方中信のことを「方老九」と呼んでいる。礼を欠いているわけではなく、いわば「男人老九」(男の意味)。試しに聞いてみるといい、誰が「方老九」より本当の男か?


方中信、本名は符力。マカオ人。どうやって彼が芸能界に入ったのかはみな忘れてしまっただろう。1980年代、香港映画は黄金期だった。方中信はそのかっこいい外見で、当時は星輝と呼ばれていた映画会社に入った。《天使行動》や、《朝花夕拾》のような亦舒の小説を改編した文芸作品などを撮影した。僕が覚えているのは、そのころ方中信はたいそう魅力的で、芸能界の女性たちに人気があり、多くの噂がたったことだ。


10年前、僕と劉偉強(アンドリュー・ラウ)は《風雲》を準備しており、方中信に聶風の父親・聶人王の役を客演でオファーした。長い髪をさんばらにし、情が深いキャラクター、出番は少なかったが人々の印象に残った。


彼本人が聶人王の役が気に入っているのを知っていたので、後に古惑仔シリーズの映画をプロデュースする時に、特別に彼に主役をオファーした。それが古惑仔外伝のひとつ《洪興十三妹》。呉君如(サンドラ・ン)が十三妹を演じ洪興幇に属し、方中信アンダーグラウンドのボクサー可樂(コーラ)で東昇幇に属している。2人は微妙な恋愛関係。僕は特別に方中信の役を、台詞が特に少なく、全ては目で語りクール、絶対に女性の観客が参ってしまうというように作った。


3年前(05年)、方中信は爾冬陞(イー・トンシン)の《旺角黒夜》で金像奨最優秀男優賞にノミネートされた。受賞は出来なかった。しかし本紙(南方都市報)が主催する華語電影伝媒大奨影帝を奪い取った。彼は自ら広州にやって来てトロフィーを受け取った。大いに興奮していた。なぜなら彼の俳優人生で初めて受賞だったからだ(註:初めてではない。2000年《驚天動地》で第3回台北電影節年度最佳演員を受賞している)。


方中信はそのかこいい外見で演技が出来ないという誤解を人々に与えている。当然僕らは梁朝偉トニー・レオン)と比べる必要はない。ただキャラクターの描き方が正しく、監督にそれを引き出す力があれば、方中信はスクリーンの中で爆発力を持ち、それは誰にも劣らないものだ。


最近、彼は中国映画《時尚先生》の主役をつとめた。彼のよいところはまだまだ発揮されていなかった。現実の生活では、方老九はなかなか面白い人だ。もし彼があなたを好きなら、どんなこともしてくれるが、その反対なら誰も彼の原則を崩すことはできないだろう。


莫可欣はとても頭のよいミス香港だった。学歴は高く、英語もうまい、生活の上では賢く方中信内助の功だ。by 2008.6.11「南方都市報

これは文雋(マンフレッド・ウォン)が広州の「南方都市報」に書いた文章。
《風雲》や《洪興十三妹》のくだり、「そうなんだ」ととても納得。特に《洪興十三妹》の可樂、作りに作った役だったとは。その罠にしっかりひっかかっていたし。
ところで先ほど、方中信で中文のwikiを調べたら、なんと親サイトの方中信ページがリンクされていてびっくりしてしまった。