彈・道

張孝全、曾[小豈][王玄]、監督、任達華任達華(サイモン・ヤム)、張孝全(ジョセフ・チャン)、林家棟(ラム・ガートン)、柯俊雄(オー・ジョンホン)、張國柱(チョン・クォックチュウ)、廖啓智(リュウ・カイチー)、曾愷玹(アリス・ツァン)、戴立忍(レオン・ダイ)、張瀚、黄仲昆、胡婷婷 
劉國昌(ローレンス・ラウ):監督


刑事(張孝全)は改造拳銃にからむ容疑で黒社会の大物・龐(柯俊雄)の息子を逮捕した。龐は総統の参謀(張國柱)に息子の釈放を頼んだ。そのころ台湾では総統選挙に向け、対立する2人の候補がしのぎを削っていた。現総統の呉立雄陣営は不利な立場にたたされていたが、一気に民意を動かそうと、参謀は息子の釈放を餌に、龐にある計画の実行を依頼した・・・・。(一部ストーリーあやふや)


ほぼ全編台湾でロケしており、出演者の多くは台湾の俳優で、全編普通話(びん南語もあり)という異色の香港映画。監督の劉國昌は、時にドキュメンタリー風にニュース映像を挟み込みながら、物語を作り上げているが、映画は明らかに2004年の台湾総統選挙を風刺していると思われ、呉の風貌は陳水篇によく似ている。


柯俊雄は貫禄、張國柱は色気があるし、憎たらしい。ほとんど話しをしない林家棟は、無表情の殺し屋。廖啓智は相変わらず上手い。曾愷玹は出番も少なく彼女である必要が感じられなく残念。張孝全と任達華は刑事。
台湾の選挙といえば、思い出すのは劉徳華アンディ・ラウ)、梁家輝(レオン・カーファイ)の《黒金》がある。黒社会のではない選挙、というのは香港映画には珍しく面白い題材で、キャストもそれなりに豪華だが、いまひとつ物語に深みが感じられないのが残念。それは主役の刑事2人の心の葛藤が描ききれていないのではと思うからだ。特に任達華の役、途中からいきなり登場する地中海貧血の任達華の子は、出て来たところでストーリーがほぼ読めてしまうし、最後の最後の心の葛藤の描き方が足りない。任達華は的確な演技の出来る人のはずだが、それが十分に発揮されていると思えない。脚本の練りが足りないのではないだろうか。他の出演者たちも全編に渡って描き方不足を感じるのが非常に惜しい。
2008.9.11@The Grand Cinema(夏日國際電影節)


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