エロス+虐殺(情慾與虐殺)

《情慾與虐殺》岡田茉莉子細川俊之、楠侑子、伊井利子、原田大二郎八木昌子高橋悦史 吉田喜重・監督 1969年 モノクロ


大杉栄と妻の堀保子、神近市子(劇中の名は正岡逸子)、伊藤野枝の四角関係を描く。これに現在の男女の物語が平行して起こっていく。


2時間ぐらいだと思っていたが、3時間近くあった。観念的な台詞は、日本人の私でも理解できない(もちろん言葉そのものの意味は分かるが、その言葉が発せられる意味が分からない部分もあり)のに、いわんや英語字幕を見ている香港人をや。終わったあと何を言っているのか分からないと言っていた人多し。
しかしまったく退屈しないのは、そのカメラアングル。これでもかこれでもかと、さまざまなアングルが登場してくる。塀や壁、ふすまで画面を分割したり、顔をアップにしてみたり、2人を画面の両端に置き1人をうんと手前にしもう1人を奥に置いたり、最後の方になり大杉が倒れて雨戸に載せられているシーンなど、雨戸が対角線に画面をよこぎっていたり・・・・。とにかく試せるだけのアングルを試したという感じ。台詞なんか聞いていなくても画面を見ているだけで飽きなかった。また舞台劇のようでもあり、歩き方に能のような部分がある。
岡田茉莉子が美しく魅力的、原田大二郎が若くて細かった。
2008.9.21@香港太空館(1960s 日本電影新浪潮)


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