怨女

《怨女》夏文汐(パット・ハー)、徐明、張盈真、陳莎莉、高捷(ジャック・カオ)、韓道光 
但漢章(フレッド・タン):監督 中央 カラー 国語 1988年


清末民初の上海、美しいが気の強い銀娣(夏文汐)は、兄嫁の薦める結婚話を何度も断ってきたが、実は隣家の薬屋の小劉(韓道光)が気に入っている。しかし愛とお金をはかりにかけた。そしてある日、紹介する人があって、名家の姚の次男に嫁ぐことに。しかし次男(高捷)は、目が不自由で、くる病で、ぜんそく持ちの男であった。このときから銀娣の苦悩の日々が始まったのだった・・・・。


《怨女》は、アメリカへ渡った後の張愛玲が、自身の小説《金鎖記》を中編の英語小説に書き換え、それをさらに翻訳したのもの。物語の大筋は《金鎖記》とかさなる部分が多い。許鞍華が演出した焦媛(ペリー・チウ)の舞台《金鎖記》を見ておいてよかった(id:hkcl:20090406)。


夏文汐は、泣き顔系の美人でもあり、美しく気の強い銀娣を好演していた。姚家に嫁いですぐには他の嫁たちから相手にされないが、だんだんと気の強い本性があらわになっていき、三男への密かな思い、息子が成長するに従って息子をも思い通りに動かそうとしていく。息子の結婚相手はそれほど美人ではなかったため、つらく当たるし、しまいに嫁が肺病にかかると寝かせておくだけで、医者にも満足にみせない。さらに息子には妾をあてがう。


それにしても、夫であった次男も、密かに思いを寄せた三男も、そして息子も、男はことごとくだらしない。最後の方になると三男は突然、銀娣の家に現れ、関係を迫る。つい本気にしていまう銀娣だが、実は商売で借金をつくり金の無心に来たのだろうと分かる。そして息子はといえば、母が教えた(これもすごい)アヘンを吸ってまどろんでいるという様だ。そとは戦争だというのに・・・。張愛玲の小説に登場する男は、時代や状況にどんどん流されていくようなイメージがある。それは張愛玲の男性に対する見方なのかもしれない。
2010.1.31@香港電影資料館(借銀燈・張愛玲與電影)


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