飛砂風中轉

《飛砂風中轉》陳小春(チャン・シウチョン)、鄭伊健(イーキン・チェン)、方中信(アレックス・フォン)、余安安(キャンディス・ユー)、劉浩龍(ウイルフレッド・ラウ)、 陳子聰(コンロイ・チャン)、葉璇(ミッシェル・イエ)、郭峰、曾國祥(デレク・ツァン)、黄又南(ウォン・ヤウナム)、 C君 (農夫)、藍奕邦 荘文強(フェリックス・チョン):監督


ヤクザになろうとする少年たちに向かって、兄貴分の火水(方中信)は「切って切ってどんどんのし上がっていくんだ」とはっぱをかける。さきほどまでいた気の弱そうなヤツがいない。ふと見ると火のそばで何かしている。先ほど儀式に使った鶏を朴葉に包んで蒸し焼きにしていた。彼は家族が経営する小さな料理屋にいつもヤクザが来て保護料を請求されるのが耐えられなくヤクザになったという。それを聞いた火水は、偉くなったら料理屋をやらせてやると誓った。
火水たちはどんどんのし上がって、ついには座館になっていた。当時の少年・火腩(陳小春)は、妻と2人の子供に恵まれいまはヤクザ家業からほぼ足を洗って料理店を経営していた。火水はある日、銀行で一悶着をおこす。組織の資金がそこを付き、銀行から借り入れもできなくなっていた。それを見た火[月南]は金を貸そうというが、火水は言うこと聞かない。そこでだれかに座館を譲ってしまってはどうかと持ちかける。しかしいったい誰に譲ればいいのか・・・。
組織は火[月南]こそ座館に相応しいと考えるが、火腩にその気はまったくない。そのころ1人の男が20年ぶりにムショからもどってきた。喜ぶヤクザな母(余安安)だったが、男(鄭伊健)は刑務所ですっかり宗旨替え、経済学を学ぶため香港大学に入ると言い出す。嘆く母親だったのだが・・・。


というわけで、ヤクザになりたくない男たちがいかにして座館という義務から逃れようかと考えるために起こる騒動を描く。パロディあり、風刺あり、ブラックなユーモアあり。やろうとしていることはよく分かるのだが、周星馳チャウ・シンチー)映画でもわかるように、本人たちはいたって冷静に淡々とやってこそこいう映画は面白い。陳小春は思いのほか淡々とやっているようだったが、方中信も鄭伊健も余安安も葉璇も演技が過剰だし、みなどなってばかり。方さんは《千杯不酔》の九哥が少し入ってたが、九哥の方が断然いい。演出の問題なんだろうと思う。これではおもしろさが半減してしまう。もう少しなんとかなりそうなのに、残念。


それにしても、ヤクザのお仲間入り儀式や龍棍が登場するあたりは《黒社会》の影響大なんだろうと思う。
2010.5.15@新寶戲院(優先場)


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