虎度門

《虎度門》蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ)、袁詠儀(アニタ・ユン)、陳曉東(ダニエル・チャン)、李子雄(レイ・チーホン)、鍾景輝、李香琴 
舒琪(シュウ・ケイ):監督 1996年 
カラー 高志森・嘉禾


日本でも公開されているのでストーリーは省略。
この映画を東京で見た時には、過去の蕭芳芳出演映画を見たことがなかったので、私の中の蕭芳芳のイメージはこの映画と方世玉でできあがっていた。気っぷがよく勝ち気でさっぱりしているけど、感情豊かな粤劇役者・冷劍心が蕭芳芳その人のように思えた。今見ても、蕭芳芳の演技の的確さはゆるぎない。陳曉東が初々しい。


さて今日は、何の告知も無かったが、映画上映前に監督の舒琪が登場して、黄仲標(ビル・ウォン)について少し話しをした。

舒琪と黄仲標はTVB時代からの知り合い。黄仲標はつねに語学の勉強をしており、当時、香港では高価でもあり、なかなか手に入れられなかったアメリカの月刊誌「American Cinematographer」を毎号入手して読んでいた。後に黄仲標がカナダに移民するとき、大量なこの雑誌は舒琪が引き取った。またカナダに移民後もあらゆる機会に勉強を惜しまず、なんらかの撮影に関する講座や座談会などにも必ず出かけていって、新しい技術を吸収していた。
黄仲標はとても優れたカメラマンで、彼が関わった作品では監督の力を十二分に発揮させたし、作品を高い水準まで引き上げてくれた。香港映画では音声がないがしろにされていることも多く、時にカメラマンと音声は、うまくいかないことがあるのだが、黄仲標はあらゆるスタッフに平等に接しており、音声の仕事についてもよく理解していた。台湾から杜篤之を呼んで一緒に仕事をした時、杜篤之は、香港では音声担当がとても大切にされていると感想を述べていたが、これは黄仲標が音声を大切にしていたからにほかならない。
《サンレスデイズ》撮影時、さまざまな困難があり何人かカメラマンが変わったあと、舒琪はカナダに居る黄仲標に電話をして撮影を依頼した。黄仲標は作品の内容も聞かず、すぐにすべての仕事をキャンセルして駆けつけてくれた。そんなこともあり《虎度門》では真っ先に黄仲標にオファーした。。。

2010.8.1@香港電影資料館「捕光捉影・向兩位攝影大師致敬」


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