雞鳴狗盜

《雞鳴狗盜》
呉楚帆、張瑛、容小意、紫羅蓮、林坤山 
呉回:監督 1960年 粤語 モノクロ


ある部屋に盗みに入った泥棒・王七(呉楚帆)は、住人が戻ってきたためクローゼットに隠れたところに、もう1人男・張維廉(張瑛)がクローゼットに入ってきた。実は部屋の住人は、お金持ちに囲われている女性・小茹(容小意)で、維廉と小茹は本来恋人どうしだったが、事情があって別れ別れになっていたのだった。小茹が維廉を部屋に入れたところへ、お金持ちがやってきたため、維廉はクローゼットに隠れたのだった。
クローゼットで鉢合わせした王七に、維廉は、あるものを盗んで欲しいと頼む。それは小茹とお金持ち(実は維廉の会社の社長)との契約書。これさえなくなれば、維廉と小茹は結婚出来るという。王七はこそ泥とはいえ正義感の強い男。話を聞いてこの仕事を引き受ける事にした。しかし誓約書は社長の家の金庫の中。王七と維廉、小茹らは周到に計画を練っていく・・。


同名の連載小説を元にした作品。これが面白い面白い。正義感の強い泥棒を呉楚帆が軽妙に演じていく。この泥棒、単にものを盗むだけではなく、老千(詐欺)もはたらく。
シンガポールからやってきた資産家に扮して、維廉が勤める不動産会社へ商談にやってきて社長を騙して、別荘の図面を手に入れ、さらにはその別荘に客として招待されて、契約書を盗みだそうとするあたりは、こ洒落た映画のようだが、これが最後になって、黒社会が絡んでいたり、またまた中聯精神が多いに発揮され、物語が思わぬ方向へいってしまいそうになるあたりも、びっくりで、スリリング。
そして一方で、こそ泥も紳士も見事に演じて大活躍の呉楚帆のための映画とも言える。
2011.4.10@香港電影資料館「人人為我,我為人人:中聯電影」


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