香港女優に未来はない?

香港映画は相変わらず低迷中、それに反し大陸では盛り上がり中。多くの会社が映画への投資を考えているため、香港の監督らは映画撮影資金の心配はない。しかし監督らはある障害を克服しなければならない。それは現在大陸の多くの会社が映画撮影をする場合は、必ずといっていいほど、大陸女優を主役にと指定してくるからだ。男優については監督の選択にまかされるため、客を呼べる香港の大スターを起用できる。たとえば、揚子の巨力公司が出資した《白蛇傳説》の場合、主演女優は揚子の彼女である黄聖依(ホアン・シエンイー)、主演男優は李連杰ジェット・リー)と林峯だ。
葉偉信(ウィルソン・イップ)の新版《倩女幽魂》は、当初の主演女優選出では、劉亦菲(リウ・イーフェイ)と范冰冰(ファン・ピンピン)の競争が激烈であったが、最終的に劉亦菲が主演女優を勝ち取り、古天樂(ルイス・クー)とカップルを演じることになった。また英皇が出資する林超賢(ダンテ・ラム)監督の《逆戦》は、周杰倫ジェイ・チョウ)と謝霆鋒(ニコラス・ツェ)主演、女優は大陸の黄奕(ホアン・イー/クリスタル・ホアン)と林鵬の2人が資金8000万元の大作への出演に意欲を見せた。また2人とも彼女らをサポートする人があり、主役ならこの映画に6500万の出資をしてもいいと言う話もあったという。結果、林鵬が勝ち残った。また英皇ご贔屓の白冰も出演することになっている。
また控えの大陸女優も大作出演の機会を争っている。知名度や素質はまだまだだが、控えも強力で、香港女優は多いに損をしており、香港女優の映画撮影機会が益々少なくなっているわけだ。
香港映画の撮影をつねにサポートしている陳慶嘉(チャン・ヒンガー)監督も、香港女優の将来について多いに心配している。昨日電話で「どんどん下り坂です。大会社は合作映画しか撮りません。香港で作って新人を養成する気はありませんから。そのうち香港にはスターはいなくなりますよ。今はテレビも新人を養成しません。マスコミが一部のグラビアアイドルを取り上げていますが、彼女たちは演技の経験は少なく、大陸の大部分の女優は演劇学校を出た新人で、さらに控えの女優たちもいます。元から争いには成らないのです」。
星皓公司のオーナー王海峰(アレキサンダー・ウォン)は大陸との合作条例があり、合作ではすべてを香港スターで撮影することができず、香港女優を主演にすることは不可能だと話す。「今の合作制度の規定では、3分の1の俳優は必ず大陸人を使わなければならない。現時点は、香港の男性スターはどちらかというとお客を呼べる。なら主演男優は香港、主演女優は自然と大陸の女優を使うことなる」。
監督の黄真真(バーバラ・ウォン)は昨日、「このような現象は確かにあります。けれど幸いなことにまだそういう問題にぶつかったことはありません。いまの状況は香港女優には不利だと思います。もし私が映画を撮るなら私の映画には香港の女優が必要です。必ずね」。香港女優の将来について心配はないかと聞かれた楊千[女華](ミリアム・ヨン)は、「いいえ、舒淇(スーチー)、嘉玲姐(カリーナ・ラウ)も沢山撮っています。私は寰亞公司(自身の所属会社)を信頼していますし、会社がよい映画を選んでくれると信じています。香港の映画会社が香港の監督で多くの香港女優を起用してくれるよう願っています」。
張家輝(ニック・チョン)は、俳優はこの局面を変えることはできないという。「香港の映画会社はもう新人を起用する気がないのです。合作映画では、大陸で知名度のない香港スターは使わないですから。じゃあどうやって香港スターを養成していけばいいのでしょうか。さらに大陸のスターはみな(演劇)学校を出た人たち、香港の新人とどうやって争うというのですか。」2011.5.3「蘋果日報

この問題、考えるべき事、言うべき事はいろいろあるので夜にでも。その前にcepaの合作に関する条例をリンクしておく。http://www.tid.gov.hk/tc_chi/cepa/tradeservices/av_cinema_picture_lib.html