殺手蝴蝶夢(風にバラは散った)

《殺手蝴蝶夢》
鍾鎮濤(ケニー・ビー)、王祖賢(ジョイ・ウォン)、梁朝偉トニー・レオン)、陳恵敏(チャン・ワイマン)、劉家輝(ゴードン・リウ)、張達明(チョン・ダッミン)、呉孟達(ン・マンタ)、關海山(クワン・ホイサン) 
譚家明(パトリック・タム):監督 1989年


鍾鎮濤は大柄でハンサムだけど、映画ではいい人で少し情けない役が似合う。この映画では、元黒社会の關海山が昔のよしみで頼まれたヤクザの息子を大陸から香港へ密入国させるのを手伝わされ、どさくさに紛れ悪徳警官の呉孟達を殺してしまい、フィリピンへ逃亡する。關海山はヤクザに捕まり、娘の王祖賢が大物ヤクザに身売りしてなんとか父を助けるのだが、その過程を一切しらずにフィリピンで王祖賢を待ち、6年後には殺し屋になって香港へ戻ってくる。
6年も経っているのに、自分を振った(と思い込んでいる)王祖賢が憎らしい。その憎らしさの表現が、まるですねているようなのが鍾鎮濤のお得意の演技。このすね方の典型が、張曼玉(マギー・チョン)との《不脱襪的人(仔猫のように抱きしめて)》(id:hkcl:20100718)か・・・。王祖賢は微妙なバランスで出来た顔で、ひとつつだけ難があるのが口周り(たぶん歯並びが悪いのだろう)。眉毛もかなり立派だが、これは当時の流行りだから仕方がない。
陳恵敏の貫禄、梁家輝の好色、呉孟達の悪徳、飲んだくれる關海山、怪しい広東語を話す張達明などはまり役。梁朝偉が親分の女を慕う下っ端ヤクザ役。くるくる巻き毛で顔もぽっちゃりだ。(続きのちほど)2011.6.11@百老匯電影中心(黒色電影・法國×香港)


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