旺角卡門(いますぐ抱きしめたい)

《旺角卡門》
劉徳華アンディ・ラウ)、張曼玉(マギー・チョン)、張學友(ジャッキー・チョン)、萬梓良(アレックス・マン) 
王家衛(ウォン・カーワイ):監督 1988年


物語は省略。香港に来てからはスクリーンで見る機会がなかった。大昔、東京で初めて見た時、いまひとつ乗れないものがあったのは、従来の香港映画のチンピラものようでありながら、後によりはっきりする王家衛スタイルが同居しているところに違和感を感じたのかもしれない。
それにしても華仔劉徳華)は、彼のためならどんな事でもやってのけてしまうほど子分・烏蠅(張學友)を愛してやまない。これは「愛」以外の何物でもなく、この2人の関係を阿娥(張曼玉)が壊すことはできない。そこにも哀しさがある。


見直して気になること。SARS以降マスクはかなり一般的になっているが、この映画のころには劇中で言うように、伝染性の病気以外ではしないだろうから、阿娥の病気は当初はかなり深刻。それにしてもそのマスクを頸から下げるのは誰が考えたのか。烏蠅は調景嶺、阿娥は大嶼山と、都会ではない場所から旺角にやってきた人々の物語。Tony(萬梓良)に、おまえたちに都会は相応しくないと言われてしまう。
初めてこの映画を見た時、華仔の部屋にストーブがあるのがどうもげせなかった。暑い香港に何故ストーブが?と思ったが、住むようになって冬はストーブが必要なほど寒いことを知る。殺風景な部屋。部屋にある間仕切り。冷蔵庫にはオレンジ。水はガラス瓶に入っている。日本版パンフレットの表紙になっている赤いテーブルクロス。阿娥の服装は、旺角にいるときは地味なよそゆき、大嶼山ではカジュアルでミニスカートになったり赤いカーデガンだったり。ディテールが面白い。
2011.6.11@百老匯電影中心(黒色電影・法國×香港)


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