鴛鴦亡命(オン・ザ・ラン/非情の罠)

《鴛鴦亡命》
夏文汐(パット・ハー)、元彪(ユン・ピョウ)、秦祥林、陳玉蓮 
張堅庭(アルフレッド・チョン):監督 1988年


まったく内容を覚えてないので、もしかしたら初見かもしれない。 
麻薬組織を追っていた刑事(陳玉蓮)が何物かに殺害される。殺害の直前まで一緒に食事をしていた政治犯罪課の刑事である夫(元彪)は、同じレストランに不審な男がいたことが気になっていた。この警官夫婦、別居しており離婚寸前で妻は上司(秦祥林)と同居している。妻殺害のすぐあとにレストランの不審な男も何物かによって殺されそうになった事を知り、夫は病院を訪ねて手がかりを聞き出す。その手がかりから犯人の女性(夏文汐)を捕獲し、麻薬課の刑事(秦祥林)に知らせた。ところが今度は自分も命を狙われ、犯人の女性とに逃亡することになる。2人の命を狙っているのは、実は麻薬課の刑事たちだった。


妻の死の真相を探ろうとする元彪と妻殺しの犯人である夏文汐が、命を狙われ共に逃げるうちに、連帯感を持ってしまう。本来敵同士のはずが、強力しあって新たな敵(首謀者)に立ち向かう。
今見ても息をつかせないストーリー展開で見応え十分。クールビューティー(死語)な夏文汐が魅力的。クールで非情、殺人に1ミリの感情も動かされないような女性が、自分を救ってくれた元彪とその娘には心を動かされる。衣装は綺麗な足こそ出しているものの、細い少女的な体つきで、色っぽさは感じない。後半2人がバンを奪って逃走、バンは洋服を運んでいたらしく、元彪はそこから適当に選んで夏文汐に渡して着替えさせると、胸のあいた青いドレスを着た少し照れた夏文汐が現れる。これまでの衣装とは打って変わって、このシーンでの彼女の美しさと可愛らしさが際立つ。元彪は《英雄本色》(1986年)の周潤發(チョウ・ユンファ)マーク哥を真似たのか、トレンチコートを着ているのだが、身体があまり大きくなく厚みがないので、これがまったく似合わない。
秦祥林の刑事は、麻薬密売組織を追っていって得た証拠物件の麻薬を手中にし、これを売って金を儲けようとしているが、悪事ばれてからの狂気ぶり、そして彼の部下の刑事の面構えが全員悪人顔なのもすさまじい。
夏文汐、蕭芳芳(ジョセフィーヌ・シャオ)、林青霞(ブリジット・リン)は、しなやかな強さ、誰にも媚びない凛とした強さを持った女優。今の張曼玉(マギー・チョン)も少し近い感じがするが、このタイプの女優をいま探すのは難しい。
2011.6.14@百老匯電影中心(黒色電影・法國×香港)


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