Cure(金不換)(金(かね)で買えないモノ)

《金不換》Makara Supinacharoen、Sirarat Teachasriprasert、Eric Chu 
葉劍峰(ビル・イップ):監督 2010年


NewとEricは、アタッシュケースにインチキ薬を入れ、売ってお金を稼いでいるいかさま師。ビタミン剤を詰めたカプセルを春薬だと見せかけて売り歩いている。Ericには妻も娘もいる。Newは母の入院費用の為だと言う。有る時、ヤクザとも関係のありそうなお金持ちが倒れたと知り、情報をあつめ、中華系のEricが家を訪ね、たった今ドイツから届いた薬だといい、家族から大金をせしめた。しかし金持ちは薬を飲んで突然様態が悪く成っていた。大金をせしめレストランで祝杯をあげるNewとEricだったが、娘に買ったオレンジのMP3をピンクに取り替えようとレストランを出たEricをくだんのお金持ちの息子たちが襲ってきた。逃げる途中でEricはトラックにはねられてしまう。
亡くなったEricをNewは車に乗せて運び、埋葬する。ショックを受けたNewは、車を運転し見知らぬ街の寂れたバーでしたたか酒を飲んで酔いつぶれた。バーの妙齢の歌手がNewを家に連れて帰ったのだが、突然女性はNewのことを息子と呼び始めるのだった・・・・・。


香港映画だが舞台はタイ。出演者もタイの人で、タイ語に広東語が少し混じる。インディペンデント映画。監督の葉劍峰はCMプロデューサーであり、脚本家でもある。
一種のロードムービーで、Newは車を運転しながらいろいろな土地で詐欺を働いて、どんどん田舎の方へと移動していく。人をだまし、相棒が亡くなり、まただまし、今度は騙され、少しいいことをして、少し恋をして、後悔して、少し罪滅ぼしをして、たぶんNewは今後、きっとまっというに生きて行くような気がする。そんな終わり方で観客も最後は少し温かい気持ちになれる。全体にユーモアもあり、考えさせもする。
そして映像もそんな内容に相応しく、全体に暖かみのある優しい色合い。空や雲が美しい。
2011.7.15@百老匯電影中心


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