落霞孤鶩

《落霞孤鶩》張瑛、白燕、夏萍、黄曼梨、楊茜、姜中平、雷鳴 
左几:監督 1961年 華僑 
モノクロ 粤語 無字幕


大家のお手伝い洛霞(夏萍)は、買い物に出かけようとし、金をすられたところをある男性(張瑛)が助けてくれ、お金を貸してくれた。男性は学校の教師だと話した。同じ時、留養院(身よりのない女の子たちの施設)にいる玉如(白燕)は、先のスリにぶつかられ怪我をしたところをやはり同じ男性(張瑛)に助けられた。2人は1人の男性に思いを寄せるようになっていた。大家にやってきた軍の大将の話で、学校に勤める男性に危険が迫ると知った洛霞は、危機を知らせ男性はなんとか逃げおおせた。しかしその後の行くへは知れなくなってしまっていた。
仕立て屋の息子(雷鳴)は玉如を気に入り、嫁にもらいたいといってくるが、玉如は頑なに断っていた。一方洛霞は、大家のお嬢様を嫁にもらおうとしている軍の大将が、お嬢様の留守に家にやってきて、洛霞にいいよっていた。2人の怪しい様子を見た大家の主人は、洛霞が大将を誘惑したのだと言い切り、口答えした洛霞の母に暇をやった。絶望した洛霞は頸をくくろうとするが、お嬢様の機転で命を取り留めた。そんな洛霞を大家の主人は疎ましく思い、留養院に送った。お互い同じ人を思っているとは知らない玉如と洛霞は、留養院でであった、玉如は週に1度、留養院から外で勉強に行くこと許されており、いつものように教師の家を尋ねると、そこにはなんとあの男性・江秋鶩がいたのだった。江秋鶩は革命の士であった。玉如は教師の家に通い、何かと江秋鶩らを助けるようになり、2人は互いに思いを寄せるようになり、ついに玉如は江秋鶩に嫁ぐことになった。
しかしその時になり玉如は、かつて火事の時、命を救ってくれ、姉妹同様に親しくなっている洛霞が思い続けている人が江秋鶩であるこを知ってしまう。玉如は江秋鶩には嘘をつき仕立て屋の息子に嫁ぐと言い、洛霞が江秋鶩と結婚できるように画策した。
何も知らない洛霞は多いに喜び江秋鶩に尽くした。玉如は仕立て屋の嫁になったものの、使用人同様に働かされていた。そ1んなある日、玉如を見た軍の大将が、制服を大量に注文するからといって玉如を家によこすように言う。大将の屋敷には江秋鶩が軍人になり潜り込んていた。大将が玉如にいいよっている隙に江秋鶩は屋敷を離れた。仕立て屋の主人らが玉如を追ってきて、なんとか玉如は大将を交わしたが、もうこんな家には居られないと、着の身着のままで洛霞の元へ逃げた。
洛霞と江秋鶩の家で過ごす玉如は、再び江秋鶩への思いを胸に溜めるようになる。洛霞が2人の仲を疑うようになり、ついには江秋鶩が密かに持っていた玉如の写真を見てしまう。玉如は家を出て行こうとするところを、軍に見つかってしまい、江秋鶩は玉如を逃がしたことで、大将の屋敷にとらわれてしまう。そこに玉如がやってきて、江秋鶩を逃がして欲しいと懇願する。江秋鶩を逃がすことで、玉如を思い通りに出来ると思った時、今は妻となったかつての大家のお嬢様がピストルの引き金を弾いてしまうのだった。さらに江秋鶩を車に乗せ安全なところへ逃がしてやった。江秋鶩は妻の洛霞を連れ、船に乗り、街を離れることにした。それを駆けつけた玉如が岸から見送っていた。


張恨水の同名の小説の映画化。物語を書き出すと長くなってしまった。(書いておかないと忘れてしまう)
もう出てきただけで、誰が悪者なのか、一目瞭然。雷鳴は歯並びが悪く背があまり高くなく、頭の回転も少し弱そうな息子を演じており、仕立て屋(高魯泉)とその息子の登場部分は喜劇的で、悲劇の中の箸休め的な役割。
映画自体も、もちろん作りすぎの感はあるものの、かなり面白く、描写の細かさに感心する。やはり白燕は綺麗だし、上手いし、不幸が似合う女優だ。
この当時の俳優たち、主役級の人でも出演本数が300本、400本がざら。今は劉徳華アンディ・ラウ)がようやく100本を超えた程度。やはり演技も経験。演じれば演じるだけ上手くなる。そんな意味においても今の若い俳優たちは不幸だと思う。
2011.7.31@香港電影資料館(緑葉常青−李香琴・羅蘭・雷鳴・王莱)


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