第七號司機

《第七號司機》張瑛、呉楚帆、夏萍、馮峰、雷鳴、石堅 
張瑛:監督 1958年 華僑 
モノクロ 粤語 無字幕


バスの運転手の権哥(呉楚帆)はある日、バスの前に飛び出してきた女性を助けると、彼女はかつて隣に住んでいた阿英(夏萍)だった。阿英は男ともめ、薬物を背中にかけられていた。権哥は同僚の阿偉(張瑛)に事件を警察に届け、彼女を病院へ連れて行くように頼んだ。病院を訪ねた権哥は、阿英が父の死後、お金に困り高利貸しから金を借り、すでに借りた金の倍以上を払っているにもかかわらず、まだ元金を返済していないといわれていること、さらに今はクラブで働いていることを知る。権哥は阿英の身の上を心配し、クラブを辞め自分たちの住まいにやってくるように諭す。阿英は権哥の申し出に従って唐樓へやってくる。
唐樓の板間房には、バスの運転手・権哥(呉楚帆)と3人の子供と母、兄弟同様の間柄でやはりバス運転手でサッカーチームに所属する阿偉(張瑛)、同じく運転手の同僚数人が住んでいた。ある日、阿英は高利貸しの手下に居所を突き止められてしまい、家に乗り込まれるが、権哥がなんとか彼らを追い返した。
権哥は阿英を憎からず思っているが、阿偉と阿英が互いに好き合っているのを知って、2人を結婚させてやろうと金を工面して宴を設けた。しかしその夜、高利貸し一派が、再びやってきてもみ合いになった。権哥が彼らの車に轢かれそうになったところを阿偉が助け、代わりに足を切断する大怪我をおう。悲しみにくれる阿英だったが、医者の義足があれば見た目もよく行動も健常者と変わらないという言葉を聞き希望を持つ。しかし高価な義足は買えないと悩むが、再びクラブで働くことで、なんとかお金を工面しようと考える。
阿偉が一日早く退院してきたため阿英がクラブで働いていることが知れてしまい、阿偉は激しく阿英をなじった。しかし権哥から阿英は義足のためにクラブつとめに戻ったと聞かされる。阿偉は生きていても阿英の負担になるだけだと屋上から飛び降りようとする。阿英と権哥が阻止しようとしているところへ、高利貸しらがやってきて阿英を連れて行こうとする、そこへみなで金を出し合って義足を購入した同僚たちが駆けつけたのだった。。。


実力派の脇役を紹介する今回の特集。李香琴、羅蘭に続く、3人目は雷鳴。眉毛が太くてうさんくさそうな面長の顔はかなり特徴的。自分のブログを検索したら、1作品だけ雷鳴の出演作があった。
しかしそんな雷鳴より、この映画、1958年の香港が楽しい。なんせ主人公がバスの運転手で、7號というのは7番のバスのこと。オープニングのシーンでは尖沙咀の時計塔が写り、フェリー乗り場前のバスターミナルから半島酒店、彌敦道が写る。さらに珍しいのは、窩打老道と律倫街の道路標識がはっきり写るシーンがあったこと。現在の7番バスは尖沙咀碼頭から樂富までで、やはり窩打老道を通っており、たぶんこの映画の頃と同じところを走っていると思われる。さらに終点と思われる場所にバスが連なって停まっているところなども写る。そんな1958年の香港が非常に楽しい。
また、この映画は普通話に吹き替えられ大陸でも上映されており、粤語(広東語)版と國語(普通話)版では結末が違っている。大陸と香港で2バーションを作るのは今に始まったことではなかったらしい。(粤語版上映後に普通話版の結末だけも上映した)
2011.7.30@香港電影資料館(緑葉常青−李香琴・羅蘭・雷鳴・王莱)


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