《桃姐》許鞍華監督がまず感動

9月11日香港時間午前2時すぎ、《桃姐》で葉徳嫻(デニー・イップ)がベネチア映画祭主演女優賞を受賞した。

許鞍華監督。許鞍華(アン・ホイ)は新作《桃姐》を携えてベネチアへ赴き、コンペティションに参加。映画上映後、真摯な感情が感動的と好評を博した。64歳の許鞍華は、人を感動させる映画を撮るには、人を感動させる前に自分が感動しなければならないと話した。彼女は最初、脚本を読んで自分も泣きたい気持ちになったという。
《桃姐》は香港映画人・李恩霖の個人的経験を映画化した作品。家政婦の桃姐は李恩霖一家のために長年働いてきた。昨年彼女は突然卒中で倒れ、状態はどんど悪くなり、香港に残っていた李恩霖が彼女の面倒を見ることにした。許鞍華は、初めて李恩霖の脚本を読んだ時、自分も泣きたくなり、そして李恩霖に必ずこれを映画にすると誓ったと回想した。「私と李恩霖は《女人四十》ですでに一緒に仕事をしていました。お互いに相手の得意なところを分かっています。彼は私ならよい映画が撮れると思っていました。そして私も何の気遣いもなく承知しました」。許鞍華は「《桃姐》の物語が私の心を動かしたのだ」と話す。それは自分が「李恩霖であると同時に桃姐でもある」からだという。「私たちの年齢は彼ら2人の間にあります。私は母の面倒をみながら映画の仕事もしなければならない。いつも母の傍にはいられず、とても申し訳ないと思っている。李恩霖の経験したことに関しては、自分自身もまた桃姐だと思うのです。自分が年老いていくことは大変怖いことです。仕事をしなくなった時、どのような状況なのでしょうか」。
許鞍華は自分の感動したことを《桃姐》で伝えようと努力し、その一方で映画は大げさに感情をあおることはせず、全体の感覚は「地味」に、登場人物の感情が自然に出るようにしたという。許鞍華は、これからは《桃姐》のようなドキュメンタリー風な映画を撮りたい。見過ごされている感情や物語に注目し、現代香港社会の記録を残したいと話した。「アクション映画は私は上手く撮れません。だからもう撮ろうとは思いません」。
2011.9.11「聯合新聞網」