流金歳月(修復版)

《流金歳月》
鍾楚紅(チェリー・チェン)、張曼玉(マギー・チョン)、鶴見辰吾 
楊凡(ヨン・ファン):監督


2人の女性の17歳から27歳までの友情の物語。
蒋南蓀(張曼玉)と朱鎖鎖(鍾楚紅)は同級生。南蓀の父はこのところ株に夢中だが、生活にこまるようなことはない。鎖鎖は母は亡くなり父は仕事で海外にいるため叔母の家に居候している。2人はある日、男子生徒にからかわれたところを助けてもらった男性・家明(鶴見辰吾)に思いを寄せる。一度だけ3人で海洋公園で遊んだだが、家明がよこした電話番号を書いた紙を無くしてしまう。
ある日、鎖鎖の父が亡くなる。叔母の家に居づらくなった鎖鎖は、南蓀の家で卒業までを過ごした。鎖鎖は就職し南蓀は進学した。鎖鎖は転職と引っ越しを繰り返し、だんだんと豪華な住宅に住むようになっていた。南蓀の父は、鎖鎖がクラブで働いているといい、友達つきあいをやめるように諭すが、2人の友情はいつまでも変わらなかった・・・。


この日は楊凡監督が参加して、簡単な座談会が開かれた。
亦舒の小説を元に楊凡が脚色して映画化したもので、今回の上映版は、2年の歳月をかけ修復したもの。楊凡自らが修復についてもすべて統率をとって行い、できるかぎり元の状態に戻すことを目指した。これはなかなか出来ることではく、修復時に監督が関われるのは希な例だという。楊凡は過剰な色や処理を嫌い、あくまでも元の状態にもどすことを目的にした。
私がこの映画を映画館で見たのは有楽町の朝日ホールだったと記憶している。何か特別な上映だったのかもしれない(教えていただきました「アジア映画の新しい波'89」で上映)。ストーリーの細部は忘れていたのだが、紗のかかったような曖昧な画面がとても印象に残っていたのだが、今回の上映でもその時の感覚とまったく同じ感覚を味わった。それほど画面が印象的だった。このことを楊凡監督に話すと、東京で上演したのは1989年6月で、自身も東京にいっており、香港にもどった翌日が六四だったので、はっきり覚えていると話してくれた。
原作である亦舒の小説には鶴見辰吾にあたる役はないそうだ。そのあたり、亦舒の許可をもらっているのかという質問があったのだが、楊凡は、亦舒は友人で、自分が映画化すれば原作どおりでないことも彼女は分かっているし、改編しても本来の小説に失礼にあたることは絶対にしないと分かっているので大丈夫だと話していた。
またキャスティングに関しては、当初、鍾楚紅は決まっていて、張曼玉の役は葉倩文(サリー・イップ)だったが、どうしてもスケジュールの都合が付かず、急遽、張曼玉になった。葉倩文は申し訳ないということで主題歌を歌ってくれた。また鶴見辰吾の役は、鐘鎭濤(ケニー・ビー)を考えていたが、最初の妻と結婚したばかりで、妻は鐘鎭濤が他の女性と親密なシーン演じるのを許してくれなかったため、別の人選をした。鶴見辰吾は《海上花》に出演した縁もあり彼に決めた。・・・
2011.09.24@The Grand


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