捜索

《捜索》
趙又廷(マーク・チャオ)、高圓圓、王學圻、陳紅、王珞丹、姚晨 
陳凱歌(チェン・カイコー):監督


一流会社の社長秘書・葉藍秋(高圓圓)はある日、病院で重大な病気だと告げられ、入院を宣告される。驚き、落ち込み、自らを制御できない葉藍秋は出勤途中のバスの中で老人に席を譲らなかった事を、たまたま乗り合わせたテレビ局勤務の陳若兮(姚晨)とその彼氏・楊守誠(趙又廷)、彼氏の従妹でテレビ局の新人・楊佳琪(王珞丹)の3人に目撃され、携帯で一部始終を撮影されてしまった。さらにこともあろうに、その映像はニュースで流され、サングラスをかけた姿の葉藍秋は一躍時の人になってしまった。そのころ病気で失意の葉藍秋は、社長・沈流舒(王學圻)に休暇願いを出しており、病気治癒のためにと金の工面を頼んでいた。しかしひょんな事から社長夫人(陳紅)は、夫と葉藍秋の関係を誤解してしまう。
新人テレビ局員・楊佳琪はサングラスの女性・葉藍秋にもう一度接触し、素顔で謝罪の言葉を述べたインタビューを撮ったが、ビデオはテレビに流されなかった。インタビューの場にたまたま居合わせた失業したばかりのカメラマン楊守誠は、葉藍秋から報酬を出すから1週間自分に付き添ってくれないかと持ちかけられ、言われるままに彼女に雇われることになる。
そして、葉藍秋の件はネットでもすぐに話題となり、彼女の素顔、本名がどんどんさらされていった・・・・


ネット小説を元にしたシリアスな話なのだが、どうもコメディに見えてしまって困るし、新手のラブストーリーなのかと思ってしまう。ほとんどパニック状態な高圓圓は、とことんわけの分からない身勝手女になって、失業したばかりのカメラマンである趙又廷をぶんぶん振り回す。趙又廷がスクープでもとってやろうと高圓圓の誘いに乗るならまだ分かるが、趙又廷は巻き込まれ型の妙にいい人。高圓圓の演技がどう見てもコメディ的でリアリティが感じられないのは、《単身男女》を思い出してしまうからか。さらには王學圻と陳紅夫婦のやりとりも、やはりどこかコメディ風味。香港映画を見慣れた頭には、いつ陥れられた高圓圓の大逆転がまっているのかとついつい考えてしまっていけない。それほど物語の展開、特に高圓圓の行動が分からないのだ。そして彼女の悲しさ、切なさ、不条理、怒りもなにもかもが中途半端に思えて、ちっとも心の響いて来ない。陳凱歌、こんな安いテレビドラマのような映画でお茶を濁してもらっては困る。やるなら徹底的にお願いしたい。
2012.11.13@香港亞洲電影節(百老匯電影中心)


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