柔道龍虎榜

古天樂(ルイス・クー)、郭富城(アーロン・クォック)、應采兒(チェリー・イン)、梁家輝(レオン・カーファイ)、蔡一智(カルバン・チョイ)、陳小春(チャン・シウチョン)、張兆輝(チョン・シウファイ) 杜琪峰(ジョニー・トー):監督


杜琪峰、おおマジなのか、確信犯なのか、やっぱり確信犯だろうな〜。最初から変なもののオンパレードなんだけど。
(場末の)バーを男(トニー・郭富城)が尋ねる。探す相手はどろどろに酔っぱらった店のギター弾きにして、店主。男は言う「一つ勝負してくれ」。男はまったく相手にしない。相手に出来ないぐらいに酔いつぶれているのだ。しかし、次の日もしつこくトニーは尋ねてくる。そこへ、家賃を滞納して部屋を追い出された娘(應采兒)が、歌手で雇ってくれと言ってバーへ転がり込んでくる。


柔道に興味をなくし、生きる目標を見失っていた男が、再び柔道への執着を取り戻して行くまでを描く。一番変なのは、古天樂。郭富城は、一直線にすすんでいく男で、分かりやすい。古天樂は、柔道の使い手だが、やさぐれている。そのやさぐれ具合が足りない。どんなにどろどろに酔っぱらって、ぐずぐずになっても、髪型も顔もやさぐれない(爆)。顔は酒飲んで赤くなっているかと思いきや真っ黒だし。飲んだくれて倒れる様がコメディだし。あと目。古天樂の目って、愁いがない。
蔡一智も・・。古天樂の師匠の息子で、少し足りない役。彼が唱うのです「姿三四郎」を、こぶし入れて怪しい日本語で。実はこの役が最初、小春の役だったそうだ。小春だったら、ん〜〜、辛いかも。しかし、あるいくつかの場面、これ小春だったらあまりにぴったりという所があって・・(笑)。実際の小春の役は、借金のかたに應采兒に暗に売春を強要するという役。
そしてクライマックスは、蘆の原(のつもり)なのです。本物「姿三四郎」の主題歌が・・。漁港に沈む夕陽、「終」の文字。腹を抱えて笑う。ホントの最後、「黒澤明監督に謹んで捧げる」という文字が・・・。黒澤も苦笑するだろうな。
場末のバー、やさぐれたギター弾き、トニーという名、売れない歌手、借金取り。日活か東映映画のエッセンスに香港映画、それも杜琪峰映画を掛け合わせた珍作。2004年の香港に60、70年代の日本映画が入り込むんだから、そりゃ変。お馴染みの杜琪峰組役者も登場。《PTU》の火鍋屋で背中を刺されるヤクザ、《大隻佬》の張栢芝を目の敵にする上司(張兆輝)、《大事件》の任賢齊の仲間の強盗犯など。
懸案だった主題歌ですが、きちっとはクレジットされていませんでした。検索&香港人に確認したところ、「姿三四郎」は香港で放送した。放送は70年代に入ってから。さらに主題歌もヒット。主題歌は「姿三四郎」又の名を「柔道龍虎榜」としてしられている。唱ったのは徐小鳳(ポーラ・チョイ)。エンドロールには彼女の名がクレジットされていて、元歌の方はクレジットされていない。それとも彼女が日本語で唱ったのだろうか?


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