餐肉

訳そうかと思うものもあるのだが、今日は気がむかないので、たまには食べ物の話しでも。
「餐肉」というものを知っているだろうか。茶餐廳の「餐」に「肉」。広東語では「ちゃんよっく」と読む。英語で言うと「spam」。ようは缶詰めになった肉。コンビーフとは違う。本来は豚肉で出来ているらしいが、とり肉が混じっていることもある。香港のスーパーに行くと、中国製、アメリカ製、フィリピン製などが売られている。缶の形も丸いのも四角いのもある。塩分控えめ、脂肪控えめなど、健康に気を使った商品もあるが、身体に悪そうなものの方が美味しいと思うのだが(笑)。
「餐肉」は生で食すのではなく、フライパンで焼いて食べる。この「餐肉」、茶餐廳メニューでは大活躍だ。どれも簡単なメニューで使い方はハムとほぼ同じ。ただ、常に焼いてある。
「餐肉蛋三文治」といえば、餐肉と卵焼きのサンドウィッチ。餐肉は焼いてあって、卵焼きも焼きたての暖かいサンドイッチになっている。「公司三文治」はクラブハウスサンドウィッチのことで、餐肉蛋サンドに野菜サンドがセットになったようなものが出てくるのがつね。サンドウィッチの中ではたぶん一番お値段の張るメニュー。といってもだいたい25〜28ドルぐらいだが、食べごたえがある。休みの日に仕事をしなくてはいけないとき、時々仕事場近くの茶餐廳から出前を取って食べたりしている。
「餐肉煎蛋飯」といえば、ご飯の上に餐肉と目玉焼きが乗ったもので、ちょっとお醤油がかかっている。これが意外に美味しい。同じたぐいで「火腿煎蛋飯」といえば、ハムの焼いたものと目玉焼きがご飯に乗っているのだが、「火腿煎蛋飯」より「餐肉煎蛋飯」の方がよりジャンクな感じがして好きだ。餐肉、時には、麺の上に乗ってしまうこともある(同じ要領でハムも乗ることがある)。
店によって使っている「餐肉」のメーカーが違うので、旨いまずいがあるが、美味しい「餐肉煎蛋飯」は下手な「叉焼煎蛋飯」よりずっと美味だと思う。しかし「餐肉煎蛋飯」は、けして上品な食べ物ではなく、かなり下品な食べ物だということは覚えておいてほしいのだが(笑)。
わたし個人は、肉そのものより加工食品のハム、ベーコン、生のソーセージ(茹でてマスタードでもつけて食べたい)が好きなのだが、香港のスーパーでは、どこもハムやベーコン、ソーセージの種類が豊富ではない。シティスーパーへ行けば立派なハムやソーセージもあるが、ウチからシティスーパーは近くない。そんな時には「餐肉」を買った方がいいと思ってしまう。こうやって、どんどん香港に毒されていくのである。