秋風残葉

《秋風残葉》嘉玲、謝賢、江雪、胡楓 
楚原:監督 1960年 モノクロ


貧しく卑屈で何ごとにも消極的で自信のない画家・沈葉(謝賢)は、となりに住む姉妹(嘉玲、江雪)の姉・家碧(嘉玲)を密かに思っていた。家碧は、一度男に騙されていたが、かつての同級生で今は医者となっている世華(胡楓)の励ましで立ち直り、2人は結婚することに。意思表示の出来ない沈葉は、そんな2人をただ黙って見守るしかすべはなかった。さらに追い討ちをかけるように沈葉は結核にかかっていた。
恩師が企画し沈葉の個展が開かれたが、絵は1枚も売れず、藝術を理解しない人々から心無い非難の言葉を浴びせられる。沈葉を励ます妹の家燕(江雪)は、沈葉への同情がしだいに愛に変わっていくのに気付くが、沈葉は彼女の思いを受け入れられず、沈葉は彼女の前から姿を消す。妹の様子がおかしいのに気付いた姉は、沈葉を探し出そうとする。
病が重くなるのに気付いた沈葉は、家碧の肖像画を彼女に届けようと家を訪ねるのだった。


謝賢の画家が、滑稽なくらいしつこくダメ野郎で、それをさとす人々の言葉がもうすばらしく説教臭いのなんの。いや〜、これ見てやはり当事の人々は、人生は何ごとにも前向きじゃなくちゃいけないと考えたのだろうか。さらに勇気を出してプロポーズなんかしちゃったのだろうか?? 
それにしても、楚原は物語の導入部分が巧妙だ。嘉玲がある家の扉をたたく、男は「帰れ、もう新しい秘書を雇ったから、明日から来なくいい」「子供が生まれるのよ」「オレには関係ないだろう」と彼女を拒絶する。彼女は、傷心のあまり家に帰りつく途中で倒れる。そこに謝賢が通りかかり、彼女を抱きかかえ家に帰る。
2006.4.16@香港電影資料館「光藝的都市風華」


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