香港映画を救え−ソフト市場はさんざん

映画の興行収入が減っているだけでなく、VCDやDVDの市場も、ダウンロードやレンタルについての政府の制定の遅れなどで、映画と同じ運命をたどり、死に向かって進んでいるといえる。得利影視社長の朱風梅は、過去3年間、ソフト市場は4割ほど落ち込んでいると明かした。ソフトが主な収入源の寰宇社長・林小明は、「ソフトはもうだめだ。すでに衰退し、終わったものだ」と話す。洲立の社長・黎筱娉(テリー・ライ)もまた、レンタルが与える影響は深刻、業界はすでに2年前にレンタルについて政府に制定を要請している。07年には法令が通るのではと考えており、そうすればソフト市場も救済できると語った。

・林小明:やるべきことは続けてやる
「以前、ソフトによる利益は1年に2、3億香港ドルあった。現在は8割に落ちている。一部のA級の映画は1000万香港ドルを売り上げられるが、現在は・・・・。いまもまだ底には至っていない。年末にはすべてが明らかになるだろう。経営方法を変えないかぎり、ビデオはもうだめだ。年々技術は発達、ネット世界も大きく早くなっていく。さまざまなチャンネルが出来、あらゆる世界と対決しなければならない。現在すでに大混乱しており、何か変化でどうやって処理すればいいのか。向かうべき方向が明確には分かっていない。日本、韓国、タイ、中国など、香港以外の地では、香港映画は多くの映画との競争下におかれ、いったいどこへ行くのか、分からない。光あふれていた香港映画はもうない。全盛期を懐かしんでもしょうがない、もうもどってこないのだから。娯楽産業全体を見ても、いったいどこによい話があるだろうか。音楽もネットにやられて苦しい日々の連続。たぶん2年後には、音楽も映画やソフトと同じようになるだろ」と寰宇の林小明は嘆く。
現在大きく利益を上げることは出来ないが、林小明はやることがあれば、少しの利益だとしてもやっぱりやっていくと言う。来年も依然として億単位の投資をする。映画に対してまだ情熱はあるとか問うと、「大仰な大儀があるわけではなく、私は商人だから、商売をするだけだ。しかし長年映画をやっているのは、映画に思いがあるからだ。これからもやっていくし、最後の1分までやめるつもりはない。いまは、広い市場を相手に出来るのだから、多くの自由な場を求めてこそ生きのこれる道がある」と話した。

・朱風梅:共存を
得利影視の朱風梅は、以前は2、3百のCDショップがあったが、レンタル店が店鋪を拡大し、現在では110軒が残っているのみ(以前の半分もない)。レンタル店は10数軒から200店に増えてるという。5年前、一部の良質な香港映画は10数万のソフトが売れた。現在はよい映画でも6万ぐらいしか売れない。直接影響するのは発売会社だが、間接的には映画産業にも影響があると話した。
朱風梅は「映画の市場は不景気。ソフトは弱くなった映画産業を助けられると思われていた。ところが海賊版や平行輸入品問題に直面することになった。値段を下げることが、海賊版に対抗する手立てでしかなかった。正規版と海賊版の値段が大差なければ、消費者は正規版が信用できると思うだろう。ソフト市場には一筋の光りが見えた時があった。しかし今度はレンタル問題に直面した。消費者は版権料をを映画の持ち主に払うことなく、1枚に10数ドル払うだけだ。レンタル店は利益をむさぼり、あるレンタル店では数か月で好きなだけ稼ぐことが出来きた。現在でも法令がなく、訴えを起こす事もできない。レンタル店を全部無くせといっているわけではない。ただ管理する法令を作り、公平な経営環境のもと、利益が戻ってくるようにして欲しいだけだ。理にかなった公平な立場で、お互いに利益を得て、共存を望んでいる」と話した。

・黎筱娉:法令の制定と管理を
洲立の黎筱娉は、ソフトの売り上げは30%近く下落しているという。レンタルやダウンロードによる影響だ。以前のKPS(チェーンのレンタル店)は、映画会社に版権料を支払っていた。しかしここが無くなってからは、レンタル料の支払いは無くなってしまった。自分のところで作り、売るだけ。海賊版やソフトの価格下落で、まさに考えられない価格での販売、さらにさまざまな法を侵した行為やレンタルは、ソフト産業の縮小を促したにすぎない」と話す。業界はこの問題について政府と何回も話し合い、法令の制定を願い出ている。黎筱娉は「政府は何年も引き延ばしている、来年にはいい知らせを発表できるといい」と空しく話した。by 2006.9.28「明報」