赤脚小子(裸足のクンフーファイター)

《赤脚小子》
郭富城(アーロン・クォック)、張曼玉(マギー・チョン)、狄龍(ティ・ロン)、呉倩蓮(ン・シンリン)、曾江(ケネス・ツァン) 杜琪峰(ジョニー・トー):監督 1993年 邵氏 DVD


かつてVCDが出たことはあったが、ようやくDVDが発売になった。
街へやってきた青年(郭富城)は、貧しさゆえ裸足。腹もすかしていた。通りかかった美しい靴をはいた女性(張曼玉)から饅頭をもらった。貧しい青年・關豊曜は、父が亡くなる間際に、街に住む段青雲(狄龍)を訪ねるよういわれ、田舎から出てきたところだった。段青雲は、美しい寡婦張曼玉)が切り盛りする染物屋で働いていた。
染物屋は、他の店にはかなわない美しい色の染めをすることで知られていたが、それをねたむ輩は、店の使用人を賭博でハメたり、使用人を買収し染め物屋に忍び込み、布に火を放つなど、悪辣な手段で店を手に入れようとした・・・。


無知、無学で純粋無垢な青年が、美しい靴をはきたいという単純な欲望のために、悪人に利用されてゆく。大きな目をキラキラさせて喜んだり、好きな人にからかわれ怒る。よく動く身体。他人のためと思った行為が裏目に出る。無知無学が引き起こす不幸。こんな無邪気な演技で、悲しさを表現する郭富城は、まさにはまり役。
狄龍は実はお尋ねもので、身分を隠して染め物屋にいる。張曼玉寡婦と狄龍の抑制のきいた大人の恋もよい。悪役の曾江は、時代劇に出てきそうな悪徳商人そのもの(笑)。
古装アクション映画なのに、とてもモダンに見える。傑作。かつてVCDで見て、どうしてこれが日本で公開にならなかったのだろうと思っていた(いまでも思っている)。郭富城の成長を確認するためにも、ぜひ見ておくべき作品だ。


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