姨媽的后現代生活(おばさんのポストモダン生活)

《姨媽的后現代生活》 斯琴高娃(スーチン・ガオワー)、周潤發(チョウ・ユンファ)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、盧燕、史可 
許鞍華(アン・ホイ):監督


上海に1人住む葉おばさん(斯琴高娃)の元に甥(関文碩)が訪ねてくる。クーラーも入れず、節約して生活している叔母のところがいやになった甥は、プチ家出をしたり、狂言誘拐を演じたり、おばさんを困らせたあげく、母の元に戻される。ある日葉おばさんは、公園で京劇をたしなむ男(周潤發)に出会う。教養もあるらしい男と意気投合したと思ったら、小金をだまし取られていた。偶然くだんの男を見つけ、どなり散したが、またも男の口のうまさに乗せられて・・・・。
ひさびさに普通の男(といっても詐欺師だが)を演じる周潤發をスクリーンで見られる嬉しさ。やっぱり、こういう役こそ周潤發。最初はもちろん口八丁で騙すのだが、途中は本心かもしれないと思わせる。うまい。ハリウッド映画でたまった鬱憤を思う存分吐き出して、嬉々として演じていたんじゃないかと思って見た。
それになんといっても斯琴高娃。これは彼女のための映画、彼女の独壇場。水太太(盧燕)や、子供が病気の女(史可)などとのやりとりも面白く、斯琴高娃がいきいきしている。
趙薇もこういう役の方がいい。というのも、前から思っていたのだが、趙薇はなんか田舎臭いところがある。《少林足球(少林サッカー)》のブスメイクの方が、《緑茶》の都会の女性より断然しっくりくるんだから。
前作《玉観音》とは比べ物にならないくらいいい映画だった。ただ最後が寂しいのが、少し残念なところなのだが。
2007.3.10@百老匯電影中心


■□07年に見た映画一覧□■


今日は百老匯電影中心で午後4時から許鞍華のティーチインあり。いくつか記憶に残ったことを。

  • 大きな月には何か意味があるのか。「これは脚本家が自分が入院している時に、本当に大きな月を見たそうだ。それで、映画でも大きな月にした、普通の月じゃつまらない。特に象徴していることはないけれど、月が心をいやしてくれると思ってくれてもいい」
  • 周潤發が京劇の歌を歌うのは吹き替えですか。「もちろん吹き替え。でも周潤發は先生について習った。表情などもきちっと習っている」
  • 大陸では上映されていますか、反応はどうですか。「大陸でも台湾でも上映されている。反応はいろいろ。前半がいいという人もいるし、後半がいいという人もいる。とても健康的な反応だと思う」
  • 同じ「新浪潮」から出た譚家明(パトリック・タム)《父子》と比べると、《父子》はすべてが整っていて、いろいろ工夫が見えるが、《姨媽的後現代生活》 は、そういうところが感じられないと思うのだが。「あら、私だっていろいろ工夫もしている(笑)。実はそれは、わざとそうしている」
  • 大陸で撮った2作目だが。「最初は怖かったが、今回はそういうことはなかった。やはり分からない事は、知っている人に聞いて理解する。台詞などでも聞き取れないところがあるので、それは分かる人に聞いてもらっている」
  • 斯琴高娃と周潤發は、食事をしていたら、次のシーンはベッドの上だったが、これはカットしたのか。「カットはしていない、元の脚本がそうなっていた」
  • 后現代とは。「后現代、つまり現代のこと。脚本家が言ったタイトルをそのまま使っているから、それほど深い意味はない。ただし后現代とは、いろいろなものがミックスされていることを言うと思う。古いものと新しいもの、中国的なものと西洋的なものが、混ざっているということ」
  • 次回作は。「天水圍を題材にしたもの」